どこか違う場所で、魔力の奔流を感じた。


彼女が始めた合図だろう。


左手には僅かな痛み。


別れを知らせる時計のように、ゆっくりと後も残さず、消える令呪。


彼女に与えた命令は全てで三つ。


一つ目は、今彼女に下した命令。


つまり全力での聖剣の解放。


二つ目は、彼女に自分で魔力の補給をさせること。


それは命令が続く限り、人の魂を活力現にするということ。


最後……三つ目は………



「――――――投影、開始」



…………マスターである俺の反応が消えるか、この島国全ての人間を消し去る
まで、その力を行使してもらうこと。



丘より彼女の剣を引き上げる。

呪文は必要なかったのだが、最後の投影だったからか、自然と口から漏れてし
まった。




「「約束された―――――」」




どこかにいるであろう彼女と、声が重なる。

高まり続ける力は行き場を失い、解き放たれた怒りと共に、無への扉を開け放
つ。

音さえも聞こえない。

言の葉に乗せる真名。

いつか見た、あの光の向こうへ。





「「――――――――――――――!!!!!!!!!!」」





光に溺れ、何も見えなくなった。

目の前に広がるのは、無造作に連なる墓標のような剣の丘だけ。

たどり着いたのか、迷い込んでしまったのか。

あいつの後を追っているのか。

ゆっくりと自分はその荒野を歩いている。

心の中の世界。

具現化された深層心理。


その中に、彼女が一人、誰かを待つように佇んでいた。

銀鎧。
はるか昔のあの日。
土蔵の中で出会った、あの時の姿のまま。

わざわざ選んだのだろうか?
俺に別れを告げる時間を作るために?

まぁ、そんなことは、もうどうでもいいんだけど。


「――――――――――終わりました、マスター」
「そっか………ごくろうさま」


いえ、と彼女は首を振り、こちらと目をあわせる。
それは裁定者のようでもあり、別れを惜しむ恋人のようでもあった。


「これで………よかったのですか………?」
「――――――――――」


首を振るだけで答えは言わない。
そんなものは無いのだから。
あったとしても、それが俺にとって正しいかなんて、俺にはわからないから。

正しかったとしても、俺にはそれを口にする権利も、資格も無いから。


こんな俺じゃ、あいつは―――――――


「いえ、今のは忘れてください。私の魔力も、もう尽きてしまったようです…
……」
「そっか………長い間、つき合わせてすまなかったな」
「そんなことは………」


―――――――笑っては、くれないだろうな。

などと考えていた。

そうして、また無言になる。
言葉を伝え易くするためか、風も止んだ。

全てを裏切って手に入れた静寂。
見え、聞こえ、感じる全てが虚しい。

歪な笑顔を互いに浮かべ、目を合わせることはない。

この時が無限に感じる。

終わりのない世界。
終わることの出来ない世界。

あいつがいた世界。
あいつがいない世界。

無限に続くかと思われたこの虚構の時間。

しかし、それでも時間は過ぎて。


「もう、会うことも……無いでしょうね………」
「だろうな………」
「―――――――さよなら、我がマスター」
「ああ………」


名前は呼ばない。
呼び、呼ばれる資格など、もう俺には無い。

薄く光の帯を残して、夢が醒めるように消えていく蒼銀の剣士。
それを最後まで見届けて、力尽きたように地面に仰向けになった。

理想は粉々に砕け、残ったのは消え行く寸前のこの身のみ。

全てを失った。

答えは見つかったのだろうか?

答えはあるのだろうか?

思考を止めて空を見上げる。


そこは、あの時の朝焼けのように、黄昏を纏っていた。

奇しくも、始まりと同じ光景。

悪いな、と。

最後にもう一度、誰かに詫びて、目を閉じた。

空が綺麗だった。

今まで見えていた景色さえ思い出せない。

風も消え、光も失った。

途絶えた道の先、何かが見えると思っていた。

消え去った理想の偶像、そこまで行けば何かを手に入れられると思った。

終わったか…………その答えは既に無い。


もう、誰の笑顔も思い出せなくなっていた―――――――


彼女の顔が、彼女の顔が消えていく。


消える――――――


俺が――――――消えていく―――――――


俺が―――――――消えた。




またここに墓標が増える。

名も無き………理想に溺れ、理想に裏切られた者の墓標が。








体は剣で出来ている―――――――



―――――――心は砕け  残るは欠片



幾たびの死線を越えて孤高―――――――



―――――――ただの一度の達成も無く



ただの一度も理想に届かない―――――――



―――――――彼の者は独り 終焉の丘にて涙を枯らす



故に その生涯に意味は無く―――――――



―――――――その意志は


―――――――その心は




「……………………………………………………きっと」



―――――――その体は



きっと―――――――









―――――――冷たい刃で出来ていた……………………







                             <end>










〜〜あとがき〜〜


はいはい〜〜♪
BADですね〜〜BADです〜〜。

セイバーたん企画第2弾!!

とりあえず、凛グッドアフターなのにバッド、何故にって感じで。(笑えない
エミヤが裏切られて、復讐に溺れ、そして守護者?になるかは分かりませんが。
り、凛様を殺してしまったぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!(泣

あ、あと、細かな設定には目をつぶっていただけると嬉しい限りです。(笑…
…亡
途中は殆ど凛様主役になってるし。(汗

やっぱりエロくないし。(致命的

本家に投稿したものは、エロを取っ払った奴でして。
うむむむむ………実力の無さに恥かしくなる思いです。(汗
大分加筆修正したんですが………批評とかしてくれると励みになります。
指摘してください〜〜〜!!(泣

はぁ、こんなんでいいんでしょうか?
また質が落ちたとか言われそう………。(泣

で、では、また放浪へと。

末丸。