「……は……激しく、し、射精するのにっ」
「うんうん……」
「い、意地悪しないでくださいっ」


 ついには真っ赤になって俯いてしまうセイバー。
 金の前髪がさらりと揺れ、彼女の瞳をそっと隠す。
 セイバーの言いたいことは理解できていた。士郎が射精したばかりだという
のに、その怒張した肉棒は萎えるどころか、より硬さと大きさを増したように
依然として反り返ったままであるからだろう。
 それを指摘されても仕方が無い。

「……相変わらず頑固だな、セイバーは」
「シロウは、相変わらず私を困らせてくれます……」
「そうだとしても、セイバーが見せてくれないのはフェアじゃないぞ」

 士郎は自らの指をしゃぶって唾液をつけると、僅かに覗いた太股の裏側へそ
れを這わせた。鎌首をもたげた舌のように、つぅ―――、と予期せぬ部分を指
がなぞる。

「やぁ、あんっ! し、シロウっ、それは反則で、きゃんっ!」
「セイバーって、腿の裏でも感じるんだ……」
「うううっ、しろっ、ひゃああっ」

 確かに下腹部を晒すことに恥じらいがあったかもしれない。
 しかし、それがセイバーの本意で無いことは士郎にも容易く解せた。その証
拠に士郎が少し力を込めれば、あっさりとセイバーは太股を開くであろう。
 だが、それをあえて行わずに、士郎は彼女の腰へと手をあてがった。

「―――?」

 眉根を寄せて訝しむセイバーに思案の隙を与えないよう、素早く行動に移る。
 彼女の腰を持ち上げ、閉じられた脚はそのまま縦に。爪先は弧を描き、あっ
という間にセイバーは、後転途中で回りきれない、といった風の体勢になって
しまった。

「あ、え、えっ……し、シロウっ、駄目っ、この格好はっ」
「なんでさ……俺、もっとセイバーに気持ちよくなってほしい」
「あぅ、そ、それは……」
「さっきのは、何だかんだで俺のほうばっか気持ちよくなった感じだし……そ
れなら、今度はセイバーの順番だろ」
「それにしても、この格好は……」

 俗に言う、まんぐり返しと呼ばれる格好になったセイバー。
 その身を士郎に委ねていたセイバーもこれには弱々しく声を荒げた。
 脚を閉じているため、セイバーの表情は窺えなかったが、付け根の肉が士郎
の眼前でぴったりと閉口しながらも、ぴくぴくと眼前でひくついている。

「厭?」
「―――あっ」
「セイバーが厭なら、俺はすぐにでも止める……」

 穏やかな声音に、セイバーの身体の緊張が僅かながら緩む。
 その様子から察するに、拒絶の意思は無いようだ。
 数秒か、数分か、数十分か。
 一瞬にも永劫にも思える時間を経て、少女が呟く。
 少年にだけ、聞こえる大きさで。

「シロウ―――」
「ああ、セイバー」
「その……弱音に聞こえるかもしれませんが、できるだけ……優しく」
「―――――っ!!」

 言われなくてもそうするつもりだったが、改めてセイバーから言われると後
頭部を不意打ちに殴られたような衝撃。震える彼女の声を愛しく思いながら、
少年は安堵させるように優しく呟く。
 少女にだけ、聞こえる大きさで。

「うん、わかった。優しく、してあげる」
「は、はい―――お願いします……」

 文字通り、硬く閉じられた蕾。
 挟み込まれた秘肉へ縦に入る筋もぴったりと塞がれていた。
 緊張からか不安からか、小刻みに震えるのを落ち着かせるように、士郎は舌
を伸ばしてセイバーの陰部を丁寧に優しく舐め始める。

「やっ、あ、あぁっ」

 セイバーの嬌声が脳髄の奥にまで響く。その音色は甘い吐息を含んでいなが
らも、耳朶をよく震わせる涼やかさ。
 筋をなぞるように舌先が這い、唾液の跡が筋上に生じる。
 快感に打ち震えるセイバーがあまりにも可愛らしい。舐めれば舐めただけ、
吸い付けば吸い付いただけ、十色の反応を見せた。そ
 士郎もどこを舐めればどんな反応をするのか、どの強さで舌を使えば快感を
覚えるのか、それを探るようにしっとりと濡れた股間を舐め続けてゆく。

「ひゃうっ、んっ、はぁはぁ……」

 閉じられたセイバーの脚が次第に開き始めた。
 舌先で肉の扉をつついていた士郎の眼前が、ゆっくりと割れ、その向こうに
ある少女の表情も露になる。
 柳眉を下げ、切なげな表情を投げかけてくるセイバー。
 半開きになった口で零す、甘い声が囁くように空へ飛ぶ。

「シロウ―――シロウ、シロウ……」
「ん、セイバー……」
「気持ちいい、です。シロウの、が―――あ」
「―――む」

 ふと、互いの言葉が途切れる。荒げられた吐息があるために、完全な沈黙と
はいかなかったが、それでも二人の間に停滞が訪れていることは確かであった。

 今までは閉じられた脚のため、その奥の秘所で何が行われているのか解らな
かったが、それが開かれたことによってセイバーに自らの陰部を士郎に舐めら
れているという視覚の刺激が加わる。
 この期に及んで気まずいも何も無い。
 士郎はセイバーの眼前で、閉ざされていた肉の秘裂をほじるように粘液を舐
め上げてゆく。舌先で割り解された陰部が小さく薄桃色の花弁を覗かせ、中の
蜜を溢れさせる。

「うあっ、ああっ、シロウっ、」

 その行為を直視しながら抗せず、ただ士郎の舌で舐めまわされるがままに感
じ入るセイバーからは切なげな喘ぎ声が聞こえる。
 その声音に溺れそうになるが、士郎は意思を無為に流すことはせずに、セイ
バーを優しくほぐすように、陰部の壁を舌を使ってめくってゆく。
 確かな重みを舌先に感じると、セイバーが身悶えた。
 その身体は引っ繰り返っているため、零れ落ちるセイバーの液が彼女自身の
腹部を濡らす。

 火照った身体を這う、くすぐるような感覚。
 セイバーを取り巻く様々な異なった快感が、着実に彼女を溶かしていた。
 そして、その蕩ける身体すら舐めとろうとするように、潤んだいやらしい音
を響かせながらセイバーの秘唇を割りほぐしてゆく。

「しろ――っ、そんな、に激しくしたらっ、だめっ、だめ……ですっ!」

 身体の芯まで熱を帯び、高揚してしまっている士郎にはその言葉すらも心地
よい。
 もっとセイバーを悦ばせてあげたい。自らの欲望の充足ではなく、相手の快
感の充足を思い、士郎の舌が蠢く。
 それだけではなかった。
 つぅ、とセイバーの太股を這うように何かが蠢いている。その感触には覚え
があった。士郎の指、その先端だ。
 少年の舌による愛撫を受けた少女の股間に、五指が静かに這い寄る。
 それだけで、セイバーは士郎の意図を理解した。

「……シロウ、駄目です……そこは、汚い」
「セイバー。今更だぞ……それに、俺は汚いなんて思っちゃいない。セイバー
のここ、すごい綺麗だ」
「そんな、世辞はっ、あんっ!」
「はぁ、あっ、ちゅ―――お世辞じゃないってば、でなきゃセイバーのここを
舐めたりなんかしない」

 そんな会話の間に、士郎の指はセイバーの肉壁にあてがわれる。
 引っ掛けるように指先を曲げ、未だ半開きとなっているセイバーの秘裂を左
右に割り開いた。
 セイバーの女性器が士郎の眼前にあらわになり、ぬめる雫の艶化粧を視界へ。

 くらくらする。

 花開く秘唇からは女性特有の――いや、セイバーの甘い匂いが浮かび、背骨
から痺れるような刺激を与えた。士郎の舌が鎌首をもたげて、蜜の香りに誘わ
れる蜜蜂のように割り広げられた股間へ近寄る。

 その先にあるのは、肉壁の先端で震える陰核。

 粘膜に覆われ、すっかり硬くなった尖りを士郎の舌先が転がす。
 セイバーの液によって滑らかさはさらに増し、彼女の背筋が産毛を逆立たせ
る。

「あうぁっ、んっ、しろぉっ、すごぃっ、ん、んんあっ!」

 陰核を舌先で舐め上げ。
 少し強めに押さえつけ。
 唇でつまみ、挟み込むようにして揉みこむ。

 波のように甘い刺激が押し寄せ、セイバーの五指がきつく布団のシーツを握
り締める。これ以上、快感に身を委ねてしまったら自分が忘我の域にまで達し
てしまうということを感じているのだ。
 セイバーの指がシーツを放し、彼女のクリトリスを包み込むように愛撫する
少年の頬をそっと撫でる。
 熱に浮かされたように火照った顔で、セイバーは小さく紡ぐ。

「しろ、ぉ、お願いします、来てください―――」
「……セイバー」

 衛宮士郎に、愛してほしい、と少女は言った。
 性格ゆえか、騎士としての過去ゆえか、自分から求めることをしなかったセ
イバー。そんな彼女の甘え。上気した顔へさらに赤を重ねているところからも、
羞恥が若干ながらに残っていることが解った。

「もう、シロウを感じすぎて、駄目なんです」

 その様子がなんともセイバーらしくて可愛い。
 下腹部を持ち上げる体勢から解放してやり、元の仰向けに戻る。

「頭の中がおかしくてっ、これ以上……変になってしまう前に、お願いします」

 蕩けるような甘い吐息と声音。
 だけど、そこに含まれている意思は真剣そのもの。
 感情は沸騰しているのかというぐらいに煮立っているのに、一方ではひどく
穏やかで、優しく吹きすさぶ風のような自分がいる。
 あまりにも可愛らしいセイバーに激しい昂りを感じる。
 それは情欲をぶつけるものではなく、セイバーの感情に応えてやりたいとい
うもの。

 大切に想ってくれる相手が自分を大切に想ってくれている。
 それが、たまらなく嬉しくて、視線を、指を、掌を―――肌を、唇を、心を
触れ合わせる。
 不思議な感覚。
 まだ繋がっていないのに、もう一つになってしまっているみたい。

「貴方を―――私に、挿れて……シロウ」
「―――ああ」

 丹念に舐めてほぐされたセイバーの陰部。
 士郎が勃起した陰茎を握り、ゆっくりと先端を少女の粘膜に導く。
 セイバーの脚を開き腰を沈めると、互いの性器が触れた。薄く口を開く、綺
麗な粘液を涎のように零す割れ目に、肉棒が微かに先端を埋める。
 性器と性器がキスをするような感じか。
 それだけで、割れ目から、先端から、お互いのいやらしい汁が滲んで、加速
する感情の背中を押す。

「ああぁっ、し、しろ―――」
「いくぞ、セイバーっ―――」

 先端を軽く埋めた性器を、士郎はゆっくりと奥へ挿し込む。

「あっ、んんっ、はぁぁっ、んん!」

 腰を段階的に沈める度に、セイバーの喘ぎ声が士郎の耳朶へと響く。それと
同時に、セイバーの膣を突き進む陰茎によって下腹部からは湿った音色が響く。
 二重奏に彩られながら、士郎の肉棒はさらに沈む。
 亀頭部は膣内に吸い込まれ、その奥へ。愛撫のおかげか抵抗は無く、最も太
いカサの部分を呑み込んだセイバーの秘唇は士郎を受け入れる。

 その柔らかさに導かれるように、士郎の肉棒が奥へ奥へと挿入してゆく。
 膣内へと肉棒が入ったことから、押し出されるように溢れる粘液。それが二
人の潤滑油となって、さらに深く深く滑り込むように肉棒が沈む。

「はあっ、あ、シロウ……すごぃ、です。奥まで、きてます」
「ああ、全部入った……セイバーの中に、全部……」

 向き合う二人は、荒い呼吸のまま見つめあう。
 お互いに余裕が無いことは見て取れた。このまま動いてしまえば、残った余
裕すらも完全に霧散してしまうに違いない。
 それを惜しむように、唇を重ね合わせる。

「ん、んんっ―――ひゃっ!」

 士郎がキスをしようと倒れこむように身体を寄せたため、セイバーの性器の
陰核が相手の下腹部と触れた。敏感なクリトリスが士郎の肌によって擦り付け
られる。
 セイバーが何かを感じ取ったことは士郎も理解していた。
 だが、その原因まではわからずに絶え絶えに尋ねる。

「セイバー……どうした? 苦しいのか、それなら―――」
「ああっ、違いますっ、シロウ……その、気持ちいいんです、この状態が」

 ああ、と士郎は胸中で呟いた。

 セイバーは女の子なんだという実感が広く身体の中に浸透してゆくのを感じ
る。
 そんなことは当たり前で、いつも士郎はセイバーのことを女の子だと見てい
るが、それを改めて、深く実感するのは彼女を愛しているこの瞬間だった。
 士郎の深くに根付く男としての本能が、刺激される。

 セイバーにもたれるような体勢のまま腰を振り、その奥を突く。
 濡れた肉壁を穿つ肉棒の動きは激しく、茎全体を使って膣内を擦りたててゆ
く。柔らかいセイバーの性器が硬い士郎の性器と擦れあって、揉みたてられる。
 深く、浅く。
 何度も何度も繰り返される、抽送。

「あっ、くうう、はああっ、シロウっ、んんっ!」

 熱い。
 身体の芯がその熱さで溶けてしまいそうで、激しく二人を急き立てる。熱さ
が神経の隅々まで刺激を伝え、身体へ休息を許さない。
 チリチリとした痛痒が背筋を駆けてゆく。
 寄せられている士郎の背中にセイバーがそっと手を伸ばす。
 士郎の背をくすぐるような感覚。それは、快感に責め立てられてセイバーの
身体に力が入らないからであろう。伸ばされた腕は拙く、今にもはがれてしま
いそう。

「しろぉっ、しろぉっ、しろぉ!」
「はああ、ああっ、ん、セイバーっ!」

 何度も何度も紡がれる、士郎を求めるセイバーの声。
 それに応えるべく、寄せた身体をさらに深く沈める。胸が触れ合い、深く繋
がった士郎がさらに深くセイバーへ。
 切なげに士郎の背中を掻いていた指先が、たどたどしく士郎の頭へとまわさ
れ、抱き寄せられる。
 囁くように擦れる二人の髪。
 耳朶や頬をくすぐるささやかな感覚にすら、快感を湛えた二人には肌が粟立
つほどの刺激へと転じた。
 そんな、かすめるような快感が引き金となり―――

「しろっ――だめっ、もう、わたし……ああっ、ふぁぁっ」

 限界を伝えるセイバーの声。
 それに答える余裕も、もう士郎には存在していなかった。互いの身体を抱き
寄せ、深く激しいピストン運動を繰り返し、肉棒で膣内を掻き乱す。密着して
いるために、すぐ耳元でセイバーの微かな言の葉が聞こえる。
 悶えて、喘いで、甘くて、可愛らしい、士郎を求めるセイバーの声。
 おそらく、彼女にも士郎の零れ落ちる声が聞こえているのだろう。

 それを確信して。
 かろうじて、士郎は囁く。

「んあっ、はぁっ、ああっ、セイバーっ」

 快感に翻弄されながらも微かに伺いを込めたその声に、セイバーは抱き寄せ
た士郎の耳朶をくすぐる声音で答えた。

「シロウっ、お願いっ、します! わたしのっ、わたしの中に―――っ!」
「いいんだなっ、ああっ、く!」
「はいっ、あ、はぁっ、シロウをっ、くださいっ!」

 かろうじて残っていた理性で意思を確認する。
 ひどく近い互いの吐息が交わり、暖かい。
 小突かれ続けた子宮が疼くのが、陰茎の先端から感じられた。

 息を、深く、吐き。

 士郎は先端部の半分まで引き抜いた肉棒を、一気にセイバーの膣へと打ち付
けるように沈めた。
 肉棒の凹凸が肉壁を擦りたててゆき、一気に最深部までまで到達する。

「あふぁっ……はああっ―――んんっ!!」

 苛烈すぎる気持ちよさにセイバーの腕に力が篭る。
 士郎を求め、求め、さらに求め、深く彼を己の胸に抱き寄せた。
 絶頂を迎えた彼女の膣が、その腕と同じように士郎を求めて肉棒を締め付け
る。

「くう、うぁっ、ああっ!」

 士郎が深く呻くと、その声に呼応するように装填されていた精液が搾り出さ
れてゆく。脊髄を駆け抜けた衝動は腰から陰茎、そして亀頭部にまで達し、少
女の膣内に白濁した液を放出した。
 びゅく―――っ!
 粘ついた生々しい音が膣の中で響く。
 だが、それだけでは止まらない。真っ白な領域へ乖離しかけた意識を引き戻
すように、何度も何度も士郎の肉棒は震え、暴れまわるように蠢いて精液を吐
き出す。

「あ――ああっ、ふぁぁ、んんっ」

 白く濁った液が打ち付けるたびに、セイバーがその熱さに身を震えさせる。
その仕草だけでたまらなくなってしまい、さらに士郎の肉棒から精液が搾り取
られてゆく。今にも快感と虚脱で身を投げ出したくなってしまう自分に喝をい
れ、打ち震えるセイバーをそっと抱締めた。

 水面に浮かぶような心地よい虚脱感。
 ぬるま湯に長時間浸かっているような、快感。
 そして、それ以上に自分自身を満たす、胸の中の愛情。

「セイバー……好きだ」
「―――シロウ、好き」

 それらを身体に、心に湛えながら、二人はそっとくちづけを交わした。





「う……んんっ?」

 気がつけば、まだ辺りは薄暗い闇に覆われていた。
 ぼんやりとした覚束ない頭で思考する―――今、何時だっただろうか。
 首だけを動かして目覚まし時計を見やると、12時を回ったところ。窓越し
には明かりが零れていないので夜ということか。

「思っていたよりも時間が経ってないんだな……」

 茫洋とした思考で、つい先程のことを士郎は思い浮かべた。
 暖かくて、嬉しくて、気持ちよくて、気恥ずかしくて、そして愛しくて。
 幾重にも感情が重なり、混ざる。

「………あったかい」

 布団のぬくもり。
 それは隣で共に寝ているセイバーのものだろう。
 ゆるゆるとした吐息は静けさを湛えた宵に相応しいほど穏やかで、聞いてい
るこちらも心地よい感情を抱くほど。

「―――セイバー」

 小さく呟き、指を頬へ伸ばす。
 緩やかな言葉に合わせ、指先も緩やかに頬の上を撫で進む。柔らかい。そし
て、暖かい。指先は微かに触れ合うだけだというのに、体中に浸透しそうなぬ
くもりを士郎は感じられる。
 それだけで、セイバーがここにいるという実感。

 その実感を感じたのは士郎だけではなかった。
 爪先の硬い感触に、セイバーが瞼を開ける。

「んっ……んん、シロウ?」
「あ、ああ。セイバー」

 ぼんやりとした瞳が、数刻の間を得て焦点を取り戻してゆく。
 そうすると、自然と彼女の思考もクリアになっていった。

「あっ、あのっ、しろっ」
「せ、セイバー?」
「その……先程はっ、あうっ……」

 そう言ったきり、セイバーは布団の中に潜り込んでしまった。眠る前までの
行為を思い出してしまったらしい。
 それが可笑しくて、士郎は笑みを零す。

「む、わ、笑うとは何事ですか―――」
「だって、セイバーがあんまりにも可愛いいもんだから」

 ひょっこりと顔を上半分だけ出すセイバーは真っ赤。

「そんなに恥ずかしがることないだろ」
「し、シロウのせいではないですか」
「俺かよ」
「ええ、先程の後に、わ、わたしの……を広げて、掻き出していたのはどこの
だれですか?」
「え―――」

 その指摘に士郎が言葉を詰まらせる。
 睡魔に襲われた辺りから、自分が何をしていたのかよく思い出せない。
 記憶を必死に掘り起こす士郎。
 確か、そんなことを―――やったような。

「え、えーと……その、ああ、えと、うわあああっ、思い出してきたっ、ああ
あっ……その、すんませんでした」

 謝ったきり紡ぐべき言葉を失ってしまった士郎に、セイバーはそっと囁く。
 穏やかな声音で、仕方が無い、とでも言いたげに。

「でも、シロウが愛してくれて……嬉しかったです」
「……う、うん。俺も、嬉しい」

 闇を湛える部屋の中で、穏やかな風が流れる。
 士郎とセイバーは撫でる様なそれを頬に感じながら、肌を寄せた。
 しっとりした汗が鋭敏になった肌を這い、くすぐるような刺激。

「凄い汗ですね、シロウ」
「ああ、そうだな……そういえばセイバー、風呂に入りたいとかさっき言って
たよな」
「え、ええ……」
「どうする、風呂だったら沸かしたままだから入れなくもないけれど」
「そう―――ですね」

 思案の表情は一瞬で、セイバーは俯きかけた顔を再び上げた。

「それでは、入りましょうか」
「―――ん」

 士郎を共に誘うような微妙な言葉のニュアンスに気付いたのか、士郎は小さ
く頷いた。
 布団から抜け出し、ゆったりと立ち上がる。確かタオルの類は向こうに用意
されたままだったはず。このまま行っても問題ないだろう。
 と。
 士郎は気付く。
 セイバーが立ち上がらずに、ぺたんと布団の上に座していた。
 視線だけで窺うと、彼女はなるべく士郎に視線を合わせないようにして俯き、
顔を真っ赤にしている。
 す、と前髪が表情を隠すが、頬の朱は隠しきれていない。

 そこから士郎は、セイバーの要求を理解した。

「―――よっ、と」
「あっ―――シロウ」

 腕をセイバーの腰に、脚にやって抱きかかえた。
 意思の疎通が出来たことに対して、セイバーが俯きながらも表情をどこか嬉
しそうにする。
 それに士郎は微笑み。
 セイバーもそれに微笑む。

「セイバー」
「なんでしょうか、シロウ?」
「うん……黙ってなくてもいいからな。俺には甘えていいんだぞ、セイバー」

 その言葉が、すとん、と胸に落ちる。
 セイバーは己を包み込む、心地よい感覚に身を委ね、士郎の首へと手を回す。

 触れ合う肌が気持ちよい。
 触れ合う心が心地よい。

 今日は、もっとシロウに甘えられそうだ。

 そんなことをセイバーは士郎の胸の中で思い、士郎を見つめる。

「―――しろぉ」

 微かな呟き。
 嬉しそうな声音を心地よく思いながら、士郎はセイバーへ唇を重ねる。
 今は言葉は必要ない。
 こうしているだけで互いの意思が疎通できるような錯覚を覚える。いや、錯
覚などではなく実際に意思の疎通が出来ていた。少なくとも、この二人には。


 身体へと浸透する、暖かな残滓を心地よく思い。

 士郎とセイバーは、さらに深く唇を重ね合わせた。



                              <了>






『あとがき』


 士郎とセイバーでラブラブなエロを目指してみました。
 世間では、やれ3Pだのと活躍している凛が、完全な脇になってしまってい
ますが、裏剣祭ということで凛の出番は控えめに。

 内容は、捻りも無い直球な感じなのですが、予想以上に難産でした。
 疲れたけど、何だかんだで士郎とセイバーのラブラブは書いてて楽しかった
です。

 こう。
 内容の長さによるダルさ、文章の拙さに関しては、本当に申し訳ないです。

 それでは
 お読みいただいた方々、ありがとうございました。