呪 詛
瑞香





 魔女が現れて、こう言った。

   ―― おまえにおちんちんを生やしてやろう ――













































 くしゃくしゃくしゃ

「あーダメダメっ!」

 瀬尾晶はせっかくつづったレポートをぐしゃぐしゃにまるめてぽいっと捨てた。
 ゴミ箱の付近まで飛んでいくがはずれて、床に転がる。
 よく見ると、ゴミ箱の付近は紙屑だらけ。
 晶は煮詰まっていた。
 もう冬コミの締め切りも間近だというのに、まだネームができないのだ。
 ボーイズラブ一直線だったが、最近はいろんなものに興味をもって、いろんなジャンルに手を出そうと思っていた。
 そのひとつがコレ。
 ようは18禁。
 男性向け創作。
 晶本人が18歳以上であるかどうかは、まぁおいといて。
 好奇心旺盛のお年頃。
 興味をもったら、ゴーゴー。前のめりにつんのめるまですすむというのが、最近の傾向。
 ついつい、興味半分で男性向け創作というジャンルに○をつけてしまったのが運の尽き。
 でもボーイズラブは絶対に外せないよね、といった微妙な思いも。
 だから新刊は2冊。1冊はボーイズラブですでに描き上げてしまっている。もう一つはジャンルに従って男性向け創作。
 男性向け創作の場所にボーイズラブをおいといて売れるかどうかは、まぁ別問題として。イザとなればコミケ知り合いである女性向け創作のブースに置かせて貰うとして。
 とにかく。
 ひーひーいいながら、仕上げているのだ。
 16ページ、いや12ページ……いえ8ページ。それだけのネタでいい。ネームさえできれば……。
 でもそう思えばそう思うほど、泥沼にはまるのが常。
 特に冬コミは当落が決定してから入稿するまでの時間が短い。
 っていうか1週間しかない。

(間に合いっこないよ〜)

 弱りきった目で、色つきラベルの封筒をチラリと睨む。
 まぁ、睨んでもどうしようもないのだが。

(コピー誌でやろうかな?)

 コピーならば、コピー用紙だけ買ってくれば、生徒会室にあるのをつかって夜中に生徒会の仕事と称して、どうどうと印刷することも可能だけど……。

 ため息をついて、顎を机にのせる。
 ひんやりとした机の冷たい感触が心地よい。

(おちんちん、ってどんなんだろうなぁ……)

 うら若き乙女が、おちんちん、と思っている時点で、腐女子確定。

(でも初めてのジャンルだから、最初の1冊はオフセで作りたいなぁ……)

 そんなやくたいもないことを考えていると、

 トントン、とドアがノックされた。

(誰だろう?)

 晶は疑問に思う。
 この時期の晶は近寄ってはならない、というのが中等部の常識。同じボーイズラブ同好の士は原稿書きで煮詰まっている晶を寮の部屋に缶詰にしてくれる。だからワザワザ晶を訪ねるということは、何も知らない上級生や先生、あるいは重大な事ということで――。
 とにかく晶はドアを開ける。


















 そこには魔女がいた。


















 いや魔女ではなく、妖女というべきか。いや妖女というのも格好つけすぎ。
 なんていうヘンな人。
 一言でいえば、春先に多いおかしい人。
 割烹着なのに、黒いフードつきマントで深々と被っていて顔が見えない。なのにその陰からみえるいやにギラついた双眸。
 キラリンって目が輝くなんて、あなたは本当に人間ですか?
 和服にフード付きマントって――胸キュン?
 思わず、呆然自失になってしまう晶。
 手にもっている竹箒を振りかざして、しゃべり始める。

「晶さん!」
「は、はいっ!」

 条件反射で返事してしまうのは、小動物系の悲しさか?

「あなた、ボーイズラブは大好きですね?」
「……は、はい……」

 思わず答えてしまう。
 するとそのヘンな人はにんまりと笑って、

「ではその逆のレズビアンは大好きですね?」
「いいえ」

 ついきっぱりと言ってしまう。
 重い沈黙。
 なぜか空間の密度が重量感をもって、晶の全身に重くのしかかってくる。
 目の前のヘンな人は、箒をもった手をふるふると震わせていた。

「何を言うんですか、晶さん。ここはきちんと『お姉さまも大好きです』といわないと話がすすまないじゃないですか」

(話がすすまないって、いったい……?)

 晶は目をぱちくりさせてしまう。

「コホン、では気を取り直して」

 今度は大げさに箒で晶を指し示すと、手を広げ、仰々しく、

「では、レズビアンも大好きですね?」
「いいえ」

(――あ……)

 ついうっかりはっきりと言い切ってしまう。言い切ってしまった。
 晶的大ピンチ。
 わなわなと震える目の前のヘンな人。

「……」

 何かぶつぶつと言っている。
 まるで呪詛。
 晶の背に冷たいものが駆け抜けていく。
 肌が粟立つあのイヤな感覚。

「……」

 呪詛は続く。

「あ、あのぅ……すみませ……」

 耐えられなくなって話しかけようとしき時、

「……ひどい、ひどいですぅ!」

 わなわなと震えながら、晶を指さす。

「せっかく、せっかく台本のとおり晶さんが主人公にしようと思ったのに、ひどい。なんてひどいんですか! こんな酷い仕打ち、槙久様にもやられたことありませんのに!」

(――槙久様って、だれ?)

 目が点になる晶。それをほっぽっといて、ヘンなひとのぼーそーは続く。
 なんていうか、ヘンな人スタンビート中。しかも、ひぃとあっぷ。

「あんまりです! 非道です! 鬼畜です! 六道輪廻してずうっとぐるっとまわって、地獄に堕ちちゃいなさい!」

 ぽろぽろと涙がこぼれ落ちる。

「呪います! 占います! 呪詛します! 丑刻参りです! 五寸釘です! サバトです! 黒山羊に生け贄を!」

 そしてばっと寮の廊下を走って逃げていく。

































「恨みますぅぅぅぅーー!!」

























 恨みますぅーー!




 ますぅーーー







 すぅーー











 ぅー

















 ドップラー効果を思い存分響かせて、ヘンな人は消え去った。
 ようやく静寂を取り戻した寮に残ったのは――。
 目が点になった晶だけ。

(な……なんだった……の……)

 とにかくドアを閉め、机の前に戻る。
 
(あわあわあわ、早くしないと!)

 目の前のヘンな人より1週間後の入稿。
 乙女として間違っているけど、腐女子的にはOK。
 またネーム作りに没頭しはじめると。
 今度はすいすいイける。
 いける、いける。
 なんていうか、ぜっこうちょうっていうヤツ。
 腐女子の神様降臨。

(そうよ、今のヘンな人がきて、呪いがかけられて……)

 どんどんまとまる。
 もう脳から妄想こぼれまくり状態。
 ちなみにこんなの
 というか実名でいいのか?

(ここで遠野先輩が呪いがかけられて、そしてそしてやっぱり志貴さんの処女を)


(そうよ、こうでなきゃいけないのよ!)

 ノりノりです。
 すごいです。
 誰にも止められません。
 すると、トントン、とドアがノックされた。

(もぅいったい誰よ。今いいとこなのになぁ……)

 チラリと書きかけのネームを見ながら、席をたってドアをあける。
 とたん掴まれて部屋の中へ押し込まれる。
 バスンとふにゃけたにぶい音をたてて、ベットへと押し倒される。

 晶、だいぱにっく。
 こわくて目を閉じてしまう。

(やだ、やだ、やだ!)

 身の危険を感じて、せいいっぱい反抗する。とにかく手当たり次第に殴る蹴る。

「痛っ! ……痛いから、や、ヤメろよ、晶」

 聞き覚えのある声。
 目をおそるおそる開ける。
 晶を押し倒したのは、月姫蒼香と三澤羽居の二人だった。

「よぅ」
「おじゃまするね、晶ちゃん」

と短い蒼香のと、α波だしまくりでにこっと笑う羽居の挨拶。
 目をパチクリ。
 キョトンとして力を抜く晶。
 そのパチクリした目から゛しわじわっと涙が浮かび始める。
 口から漏れる嗚咽。

「び、びっくりさせないでくださいよ……」

 ひーんひーんと泣きはじめる。
 乙女というより、ちっちゃいおこちゃまの泣き方。

「あは、ゴメンね〜晶ちゃん」

 そういって羽居は頭を撫でてくれる。
 柔らかいその感触に、晶はつい声をあげてないてしまう。

「ひどいですよ、先輩ぃぃぃぃ〜〜」

 グスグスと鳴き始める。もし晶に恋していたら、千年の恋も冷めるような、そんな泣き方。
 鼻水がべりぃだいなみっくな感じ。

「晶ちゃん、ゴメンね〜」

 むにゅっとした感触。
 ほっぺに柔らかい感触。
 羽居に唇がそっと晶の頬にふれていた。
 とても暖かくて、とても慈しみを感じてしまって、ようやく、鼻を鳴らして泣きやむ。

「どうして、先輩たちはこんなことを……」

 ようやく抗議の声をあげようとして、からみついている羽居ではなく、蒼香にいおうとして視線を向けると。
















 そこには裸になった蒼香がいた。
















 晶の頭は真っ白になる。
 しかもその視線はその股間に……。
 そこには、立派な男性器、おちんちん、男根、陰茎……とにかくそういうものがたっていた。

 「あ、あ、あ」

 ようやく硬直からとけて晶は声を発する。
 でも解けたのは体だけ。
 頭はいまだ真っ白のまま。

「な……は……ど……」
「あ、これか……」

 蒼香はじろりと見る。

「今さっき、着物にフード付きマントというヘンな人がきてだな」
「そうよ、晶ちゃん。そいでね。わたしたちに呪いをかけたってゆーの」
「の……呪い?」

 ぜんぜんわからない。

「そいつがいうのにはだな、それをとるのには瀬尾晶という女と交わらなくてはいけません! とか言われてさ」
「だ、だ、だからって、そんなこと本当かどうかわからないじゃないですか!」
「うーん、そう言ったんだけどなぁ」

 困った顔で蒼香は羽居を見る。
 晶は怖々と抱きついている羽居を見る。
 にっこりとした何の邪気もない笑顔。
 無邪気ゆえに、とても怖かった。

「うん、だからモノは試しだし、女は度胸っていうしね」

 うれしそうににぱぁっと笑うのだ。

「モノは試しって……あわあわあわ」

 ようやく晶は太股に感じる羽居の熱いものを感じた。
 熱くて硬くて、なんか立派な……。

(きゃー……きゃー……きゃー……)

 晶的天地鳴動吃驚仰天。

(これって……)

 チラリと、ほんとのチラリと見る。
 浅上のセーラー服のスカートをもちあげる、それ。
 見えないだけに、逆に腐女子の妄想をかきたててしまう。

(……きゃー……やっぱり……あれよ、あれっ!!)

 バタバタバタ。

 再び手足をめいいっぱい動かす。

「や、です。そんなのヤですよ。三澤先輩! それに女は度胸って諺を間違ってますぅてばぁ!」

 つっこむところはそこじゃないほど混乱しきっている。
 でも羽居はむきゅぅっと、まるで抱き枕のように晶を抱きしめる。
 その胸の感触に、太股にあたる熱い感触に、体に柔らかさに、シャンプーの軽やかな香りに。
 ――つい。

「隙あり!」

 羽居は晶を押し倒した。
 ぱふんと白いシーツの上に弾む体。
 その自分にはない大きな胸の圧迫感に押さえつけられ、晶はつい吐息を漏らしてしまう。
 その吐息にはかすかに粘ついたものがあり。

「瀬尾はこういうのは嫌いか?」

 ふと覗き込む蒼香の顔。
 可愛いと言うより凛々しい顔つき。
 その怜悧な眼差しに、鼓動が高まる。

(……嫌です……)

 そう答えたハズなのに、ただ吐息だけで答えてしまう。
 蒼香と真剣な顔に、羽居の微笑み。
 その二人の視線に晶の躰はゆっくりと火照り始める。
 まだ幼いはずのオンナが被虐的な悦びにわななく。
 ゆっくりと鳥肌がたつ、あの感触。
 身震いしてしまいそう。
 そして重ねられる蒼香の唇。
 晶の唇をゆっくりと犯していく。
 ピンク色の舌が少し開いた唇に柔らかく侵入していく。
 そして羽居が、へへへ、と笑いながら、そっと愛撫をはじめる。
 服の上を滑っていく柔らかい接触に、なんともいえないものが走り始める。
 セーラー服の上から、あまりにも柔らかく触られる感触に、晶はかすかに声があがる。
 じんわりとじんわりと、体の芯がゆるんでいく、あの感触。
 暖かくて、それでいて熱くて、切なくて、痺れていく、あの感触。
 まだ何も知らないはずの青い蕾が震えていた。

「ダメです……月姫先輩……三澤先輩……」

 口からもれる否定の声。

(なのに、なぜこんなにも熱く爛れた声なんだろう……)

 晶は熱いとろみが頭につまっていくのを感じながら、なんとか否定した。
 でもその媚声は。
 でもその眼差しは。
 でもその白い肌は。
 熱くなり始めていた。
 柔らかく、とろとろに、初めてのこのいやらしい感触に溺れていきそうになっている。

「そんなことないよ、晶ちゃん」

 羽居はそっと腕をさする。
 露出している手のひらを、指先を、爪を、産毛を、手首を、なでられる。
 ただ撫でられているだけだというのに、晶は声をあげてしまった。
 いやらしく、熱い声。
 その声を隠すように、蒼香の唇が再び犯す。
 ぬらぬらとした舌が口の中にはいってきて、くすぐり始める。
 そのざらついた舌の感触に、口内の粘膜をこすられる感触に、口の中がじんじんしはじめる。
 歯茎も、ほほの内側も、口内も、上顎も、舌も、舌の裏側も。
 蒼香の舌は幾度でも蹂躙し、犯し、支配していく。
 甘く、やわらかく、やらしく。
 そしてどろりとした感触。

(……これ……月姫先輩の……)

 唾液だった。
 それが舌を、唇を伝わって、どんどん送られてくる。
 喉に使えるほど濃厚なそれを、喉を鳴らして飲み込む。
 甘かった。
 その甘さに引かれるかのように、幾度も飲みほす。
 喉を鳴らして、せがむように飲みほした。
 セーラー服がまくり上げられる。

「晶ちゃんってかわいー」

 羽居はそういってその幼い胸をつつむ可愛らしいブラを見て、微笑む。
 その言葉にかあっと赤くなる晶。
 薄桃色にそまった熱い頬に蒼香は口づけする。

「じゃじゃじゃーん」

 すごく楽しそうに、羽居は晶のブラを外す。
 こぶりの胸が白日のもとに曝される。
 ちいさく、淡い赤色の乳首がちょこんとあって、なんとも可愛らしい。
 そんな乳首のまわりを羽居は丹念になで始める。
 蒼香も片方の胸をそっとなで始める。
 晶は胸が熱くなってくる。
 乳房に血液が集まって、はれてくるような感じ。
 とくんとくんと胸の鼓動にあわせて、胸がはれていく。
 そして柔らかい指先。
 軽やかに、ゆっくりとこの幼い体の奥をとろかしていく指使いに溺れていく。
 羽居のいかにも大ざっぱな、でも的確なそれと、蒼香の繊細で微細な動き。
 乳首が痛くなってきた。
 ゆっくりとたっているのがわかる。
 尖っていく。
 それをそっと撫でられた途端、体に甘美なものが流れた。
 体の奥底にあったはずのそれは、熱いとろみとなって一気に背中を駆け抜けた。
 思わず背筋が反り返る。
 すると胸をふたりにおしつけるような形となる。
 その幼くつつましく膨らんだ胸を口に含む。
 硬い歯をあて、舌でなぶり、唇で吸い上げる。
 てらてらと胸を唾液で汚していく。
 晶は鼻からぬけるような甘い吐息を吐く。
 震えきった、オンナの声。
 その声をふたりは楽しみながら、舌でこすり、唇でついばみ、歯をたてた。
 そのたびに流れる熱いとろみは、晶の躰を痙攣させる。そのたびに、吐息が漏れ、喉を震わせる。
 晶は溺れていた。
 見失っていた。
 自分でやったときでも、こんなのはなかった。
 熱くて、苦しくて、せつなくて、思わず胸をかきむしりたくなるほど。
 その強いいらだちにもにた悦楽は、嬌声となって、喉から放たれる。
 こんなに。
 いやらしく。
 こんなにも。
 やらしく。
 幼い少女の声が、姦婦のような淫らな響きをもって、部屋に響き渡る。
 体の奥から溢れてくる熱いそれが、晶の神経をくずくずにしていく。蕩けさせていく。
 ふと晶の目に、蒼香のそれが目に入る。
 紺色のスカートを持ち上げているそれ。
 それにそっと手を伸ばす。
 きゃん、と蒼香には珍しい女の子のような声。
 熱かった。
 硬くて、脈打っていて、触れている指がヤケドしそうなほど。
 こういうものだとは聞いていたが、ここまでとは思わなかった。
 そして感じる臭い。
 蒼香の甘い女の香りと爛れたいやらしい牝の匂い。そして牡の青臭いそれ。
 それを鼻腔いっぱいに吸い込むと、くらくらした。
 晶はその臭いにそそのかされて、スカートの上からそれをしごき始める。
 蒼香が感じているのか、喉を震わせている。
 晶の乳房をなぶっていた指と舌はとまり、そこに埋めて堪えるようにしている。
 両手でぎゅっとそれをにぎる。
 その熱さに、臭いに導かれて、強くこする。
 一回こするたびに、香りがたち、二回こすれば頭がくらくらし、三回目は……。
 たまらなかった。
 初めて嗅ぐ、牡のたまらない臭いに、晶の女は反応していた。

「蒼香ちゃん、かわい」

 耐えようとして、紅潮して荒い息をしている蒼香に羽居は口づけする。
 半開きの唇を強引に奪い、快楽をこらえて歪める蒼香の顔を、舐め始める。
 それに答えて舌を出す蒼香。
 舌がからみあい、とろけあい、ぬちゃぬちゃと淫らな湿った音を立てた。
 そして羽居はそっと晶のスカートをたくし上げる。
 幼く細い太股をそっとなでる。
 晶はその新しい感覚に震える。
 でもそれをしごく手は休めない。逆に強くこする。
 紺色のセーラー服のスカートに染みが出来てくる。
 目の前で、蒼香が感じているのを見て、晶は悦びにふるえ、舌を伸ばす。
 スカートの上からそれを舐める。
 なんともいえない味。
 塩辛いようなすっぱいような、ヘンな味。
 でもぐにっと舌を押しつけると、蒼香は、ああ、とたまらない声を上げた。
 その声がもっと聞きたくて、舌を這いまわせる。
 蒼香も負けずに、晶の胸を弄ぶ。
 とがった先をつねり、ひねって、時には舐める。
 じんじんとした甘いうずきが流れていく。
 甘いとろみが、熱い奔流となって唸っていく。
 たまらなくて。

「か……噛んで!」

 晶は口走っていた。

「噛んでください。食いちぎるぐらい、強く」

 哀願していた。
 その言葉に応えて、蒼香は歯をたてる。
 強い刺激が体の中で弾ける。女の躰を弾けさせる。
 そして蒼香は噛んだところをなめて、また歯をたて、こする。
 意味にならない喘ぎだけを漏らす。
 粘ついて、熱い呼吸音が、ただ響く。
 そして羽居は太股を何度もなで上げる。
 感じているのか、内股になってもじもじしている晶を見ながら、ふふふ、と苛める。
 白かった肌はいまや淫らに赤く染まり、感じているのがよくわかる。
 汗をかき、てらてらして、艶めかしい。
 そしてその上にある白いショーツには染みが出来ていた。
 そこから漂うオンナの匂い。
 そこに羽居は指でそっと触れる。
 熱い泥濘をこねるような感触。
 ひゃうんという晶の耐えきれない媚声。
 ぬるぬるとした感触が布地ごしにも感じられる。
 ゆっくりとゆっくりとこすり、肌と布をなじませていく。
 いやらしい染みがゆっくりとひろがり、やらしい臭いが立ち上ってくる。
 それをわざと音をたてて嗅ぐ。

「……やぁ……」

 いやいやする晶を無視して、その甘酸っぱい未熟な、でも今まさに熟れようとしている果実の臭いを胸一杯に吸い込む。

「へへへへ、晶ちゃん……気持ちいーんだ」

 羽居は白い飾りっけのないショーツをこねまわし、もっと爛れた臭いを醸し出そうとする。
 やらしいオンナのどろどろとした感触。
 ふっくらとしたオンナの丘を、その下にある熱い泥のようなそこをこねまわし、晶を感じさせる。
 感じきった悦びの声を息も絶え絶えにあげる晶。

(自分でいじったことはない、なんていわないけど……こんなの……)

 晶は目をうるませながら、体を幾度も嬲る熱い奔流に、ただ流されていくばかり。
 うずきのような、痺れのようなものが、羽居の指がひとつ動くたびに発生して、晶の理性を奪っていく。
 その柔らかいタッチが、こするような指先が、こねくりまわす感触が、羽居の熱い息が、こんなにも晶の神経を爛れさせていく。
 どんどん圧力が高まっていく。
 こんなにも高まって、胸が張り裂けそう。
 でも、張り裂けずに、それは熱いとろみとなって、体に澱のようにたまっていくだけ。
 どろどろになってしまって――。
 晶は口をあけ、涎をながし、舌を突き出すしかできなかった。
 そして蒼香の舌と指はその未成熟な胸をゆっくりと苛める。
 いやらしく、熱く、たまらなくこねまわす。
 吸い付き、しゃぷり、そして歯をたてる。
 たてられるたびに、もの凄い電流が。
 体が痙攣してしまう。
 びくひぐと弾け、体を縮めたくなる。でも意に反して背はのけぞり、口からは喘ぎがもれるのみ。
 いやらしい官能にとろけた声だけがもれる。
 そして晶はそのどろどろになりそうなのに抵抗しようとして、蒼香のに手を伸ばす。
 スカートの裾から手をいれ、その熱くなったものにふれる。
 ふれた途端びくんとして、まるで生きているものに触れたかのよう。
 布地越しにはわからなかった熱い脈動が感じられる。
 熱くて、ヤケドしそうで、でも手がはなせなくなるいきりたった逸物。
 その滑らかな皮膚と粘膜の感触を指先で味わう。
 熱くて、えらばっていて、つるつるしていて、ぬるぬるしていた。
 ねちゃぬちゃした少し粘ついた液が指を汚していくのがわかる。
 でもとめることはできなかった。
 両方の指でしっかりと掴んで、こする。
 そのたびに蒼香は短く喘ぎ、色っぽい声を漏らす。
 その声は晶と同調し、淫らに重ねて響き合う。
 晶はスカートをたくしあげ、それを見た。
 赤黒いそれ。
 グロテスクといっていいほどの肉の塊。
 びくんびくんとうごき、その先かはぬらぬらとしていて。
 でも目をそらすことはできなかった。
 その熱さに、その牡の匂いに、その感触に。
 晶は生唾を飲み込むと、舌を伸ばす。
 先端の切っ先を舐める。
 何とも言えない妙な味。
 塩っぽいような、酸っぱいような、いがっぽいような味。
 でも、いやじゃなかった。
 変わった味をしていて、変わった臭いをしていて、けっして好きになれない味だというのに。
 なのに。なぜか、おいしいと思った。
 まるでアルコールを摂取したかのような、あの感じ。
 体が熱くなる味。
 熱くなって、燃えていって、ただそれだけしか考えられなくなるような味。
 体の奥底にとろ火がつくような感じ。
 またペロリと舐める。
 むっとするような鼻につく青臭さ。
 でも、それを書くたびに、どんどん狂おしい圧力が高まってくるのが感じられる。
 まるで血管に直接アルコールをいれられたかのよう。
 いえ、直接、毒薬をいれられたかのよう。
 その毒が全身にまわり、神経を爛れさせていく。胡乱にさせていく。
 晶はただ快楽を求めて、蒼香のそれに口づけする。
 ちっぱちゅぱとまるで飴を舐めるかのように、唇で触れる。
 その絹のような感触に舌をはわせ、先の切れ目に口づけし、吸う。
 びくん、と跳ねる。
 それを両手でしっかりとにぎって固定して、切れ目にくちづけして、ちゅーちゅー吸う。
 そこからでる、このとろとろの液体をもっと味わいたくて。
 口をつけて、吸い上げる。
 どんどん出てくる。
それを飲み干しながら、舌でこすり、ちろちろと刺激する。
 溢れてくる。
 どんどん飲み干さなければならないほど、あふれてくる。
 その淫蕩な味と臭いを堪能しながら、蒼香のを吸い続けていた。

「……ふふふ、いくねー」

 羽居はそういって、ショーツをゆっくりとひきさげる。
 晶も協力して腰をあげて、すぐにぬげる。
 そこはすでに洪水だった。
 どろどろで、ショーツと糸をひくぐらいねっとりとしていた。
 まだ毛が生え始めたばかりの幼いそこは、すじひとつといってもよかった。
 そこを、羽居は口づけする。
 太股をしめて、隠そうとするが、逆に羽居の顔を股間におしつけているよう。
 指をつかって、すじをひろげ、皮をかむった豆を剥く。
 そこに息を吹きかける。
 すると舌の花弁からじんわりとした液がこぼれてくる。
 それをすくって、豆にこすりつける。
 ふくらんでいるそこは熱く、充血しきっていた。
 舌を這わせる。
 襞をわけて、指でそっと撫でる。
 熱くぬかるんだそこをいじるたびに、晶は悲鳴にも似た声をあげる。
 体全体が熱く爛れた蜜の中に埋まっていくよう。
 見白きひとつどころか、息もできないほどのつまった蜜。
 とろとろになっていて、そんな中に溺れていく、このいやらしい快感。
 全身の肌が粟立ち、飲まれていく。
 こんなにも飲まれていく。
 飲まれてしまって残るのは、いやらしい快楽だけ。
 ねっとりとした何かは体からこんこんとわき上がり、口から、目から、鼻から、女陰からでいく。
 どんどんあふれかえっていく、このやらしい感触に。
 晶はただのけ反るだけ。

「……あぁ……駄目だ……晶……もぅ……」

 蒼香がそういって、その肉棒を晶の口に突っ込む。
 そして腰を動かし、口を犯す。
 晶はただ口をひらき受け入れる。口の中いっぱいにその爛れた熱さを、爛れた臭いを、爛れた脈動を味わう。
 喉の奥をつかれ苦しいのに、でもそれが入っていく感触にじんじんとしびれてしまう。
 こすられて快感となり、えぐられて悦楽になる。そんな感じ。
 目に涙を浮かべる。しかしその色は喜悦――深いオンナの悦び。
 晶はそれでも舌を絡め、その味をしぼりとろうとした。
 すごくて。たまらなくて。欲しくて。
 もっと。もっと。もっと。
 喉の奥にまで逸物が入り込み、むせながらも、愛撫を続ける。
 そして喉奥にそれがはいったとたん。
 弾ける。
 むせかえるほどの熱い液体。
 むせかえるほどのどろどろの粘液。
 今さっきのとはくらべものにならないほどの塩っぽさと酸っぱさといがらっぽさ。
 それが喉を焼く。
 いけないと、蒼香は腰を引き抜く。
 口からちゅぽんと抜け、まだ出ていた精液は晶の顔に降り注ぐ。
 熱く、ねばっこいそれは、晶の鼻を、頬を、口を、額を、髪を汚していく。
 熱くおこりのように震えながら、晶はそれをただ受け止めた。
 顔じゅうにそれが覆いかぶさり、熱い。


(……ああ、火傷しそう……)

 その熱は、晶の芯まで辱める淫蕩な炎。それは脳髄をも灼く。
 官能にわななき、舌を突きだして、それを求めるやらしい痴態をさらす。
 蒼香のそれからは精が幾度となく迸り、晶の顔を汚していった。
 濃い精液にまみれながら、荒い息をついている晶の前に。

「今度はわたしの番だねー」

 と、羽居が立つ。
 目の前には勃起した男根。

「ほら、これがわたしのおちんちんだよー」

 見せつける。
 感じきって惚けた顔のまま、晶は手をのばし、それをこすり始める。
 こするたびに腺液が漏れはじめ、あの臭いが立ち上る。
 それをうっとりと嗅ぎながら、どんどんこする。
 すると先からとろとろと液が漏れ始める。
 晶はそれに舌を伸ばし、すくう。
 蒼香とは違う、でも同じ、なんともいえない味。
 その味が口の中に広がっていく。
 蒼香のよりも少し酸っぱい感じ。でもそんなに酸っぱいというのではなくて、気持ち酸っぱい程度。
 それを舌ですくって何度も味わった後、舌を亀頭に被せ、舐め擦る。
 羽居の顔が官能に惚けている。
 それを横目でみて確認してから、口に含んだ。
 あの味がひろがる。
 熱くて、口の中がとろけていきそうなほど。
 そして逸物に従って、前後に動かす。
 快感が後頭部を灼く。
 理性も、脳髄もなにもかも悦楽に灼けてしまって。
 まるで口が性器になったかのよう。
 口蓋が、唇が、舌が、それでこすられるたびに快感が甘く疼く。
 疼きはわななきとなって、神経を犯していく。
 舌でカリ首をつつき、息をするために、唾液をすすり上げる。
 舌が動く限り、それをしゃぶり尽くした。
 もっと、もっと、もっと。
 あの味をもっと味わいたくて。晶は口を、舌を、淫らに動かした。
 早く、こすりあげ、しぼりとるように。
 すると晶の前にもう一本肉棒が現れた。
 それをこする。指をからめて、えらばったところを さすりあげる。
 ああ、とうめき声があがる。

「……すごい、晶さん、上手です……」

 晶はふたりの亀頭を口に寄せると、口づけする。
 その柔らかい唇で、二本の肉棒をいじる。
 交互に吸い付き、幹をこすり、舌で粘膜をこそげおとすように這わせる。
 蒼香は晶の股間にそっと指をあてると、囁く。
 じゅうぶん、媚肉にとろけていて、ひくついていた。
 それを見ているだけで、いれたくてたまらない。

「いれて……いいか……晶……」

 その言葉に我に返る。

「ダ、ダメです! それだけは!」

そういって見てみると、ひとり、増えている。

(月姫先輩はわたしのそこにいて、目の前には三澤先輩と……)

 そこには牛乳瓶の底をそのままレンズにしたような眼鏡をかけた人がいた。 生徒会書記の高雅瀬である。
 浅上の制服の下のスカートはなく、下半身は裸で。彼女も股間からあれが生えていた。
 それを晶はにぎりしめ、口づけし、ねぶっていたのだ。

「晶さん……やめないでください……」

 高雅瀬は震える声で懇願する。
 そういって腰をおしつけて、口にこすりつける。

「そうだよ、晶ちゃん。やめちゃうのはなしだよー」

 と羽居も腰をつきつけて、あれを晶の顔におしつける。
 また蒼香の精で汚れたままの顔にこすりつけられ、晶の目の前で二本のそれが交差し、動いていた。

「晶さんの口は熱くて。すごくて。あんなにうごいて。でも的確で。腰の奥がじんじんと痺れて溜まりません。お願いします。もっともお願いします」

 高雅瀬は分厚いレンズの眼鏡をキラリンと輝かせながら、口に入れようと押し込んでくる。
 羽居も押し込んできて、二本のそれが晶の口を蹂躙する。
 二本の熱いものが口の中が交互に押し込まれ、息さえできない。
 粘膜が熱い逸物でこすられてしびれる。疼きがひろがっていく。
 しびれて、じんじんしてくる。

 さてどうするものか、と悩んでいる蒼香に高雅瀬は告げる。

「では月姫さん。素股はどうでしょう?」
「素股?」

 知らない単語にきょとんとする。しかし高雅瀬はそれにとまることなく一気にしゃべり続ける。

「えぇ。太股と股間の間にいれて、ローションか愛液をつかって、こすって性的快感を得る方法です。かなり気持ちよいもので、殿方の中にはこちらの方がいいという方もいらっしゃるようです。もちろんあそこを肉棒でこするので、女性、この場合には晶さんにもきちんと快楽をあたえることができますし、月姫さんも相応の快楽が得られると思います。ローションの方ですが、今はないのですが、晶さんの愛液の分泌からすればそのままおこなっても大丈夫だと思われます。わたし自身、やったことがなのでそれで本当に大丈夫なのかどうかはわかりませんが。足りなければ化粧品のベビーローションあたりをつかうとよいと思われます」

 あっけにとられ、こくりとうなづく蒼香。
 そしてまた晶の口を犯し始める高雅瀬。
 気持ちいいよーと喘ぐ羽居。
 熱い口でしゃぶられて、ざわざわとした焦らしに似た快楽が羽居を支配していた。
 晶の口淫は未熟でぎこちないものであったが、それが逆に羽居を高ぶらせた。
 一生懸命くわえこみ、すすりあげ、ぎゅうぎゅうにしめつけ、そしてこすりあげる。
 口の中の暖かい粘膜がつつみこみ、とろけていくよう。
 たまらず、羽居は喘いでいた。
 そんな晶に横から高雅瀬のがでてくる。
 とても大きくうつった。
 あつく脈打っていて、すぐにでも迸らせそうな、それ。
 それをぱくりと口に含む。
 舌ですじを、裏を、鈴口をなめ回す。
 濃い味にくらくらする。
 むせかえるような臭い。
 高雅瀬のはすこし塩っぽい味。
 それをちゅーと後がつくぐらいまで吸う。
 すると眼鏡をカタカタ言わせて高雅瀬は身悶える。

「晶ちゃ〜ん」

 ねだる羽居のを手でこする。
 ぐにぐにと揉み、つつっと指先でなでる。
 すると晶の太股に熱いモノがあてられる。

「太股を……すりあわせて……」

 蒼香の言うとおりに太股を合わせる。
 そこに、熱いものが割り込んでくる。
 焼けた火箸をつっこまれたかのような感覚。
 それがあそこをこすりあげながら、ゆっくりと動く。
 まだ花開いていない花弁が、ふくれあがった陰核がこすられて、じんじんとする。
 肉棒が晶のオンナをこすりあげ、強引に開花させようとしているかのようであった。
 真っ赤に充血しきったそこは、とろとろと愛液を流して、淫蕩なオンナの香りを漂わせていた。

 蒼香は太股の間にいれた途端、果てるか、と思った。
 まだ開いてもいない肉襞が愛液とともに肉棒にからみつき、すいついてくる。
 太股に圧迫され、こすられて、せまくて、ぎゅうぎゅうで。
 なのに腺液でぬるぬるで、びらびらでこすられて、なんて――たまらない。
 こすればこするほど、ぬちゅぬちゅと淫水の音が響き、充血しきった肉がからみついてきて、そしてすべすべした染み一つない太股の柔らかくも強い圧力が――たまらない。
 そのぬりゅぬりゅとした感覚が心地よくて。
 蒼香は男のように腰をふるう。

 晶はぐずぐずにとろけていくのがわかる。
 意志が、理性が、肉体が。
 晶を構成するものすべてが。
 何もかもが。
 淫蕩に、淫乱に、淫猥に。
 ただ――たゆんだ、どろどろのいやらしいものにとろけていってしまって。
 目の前の肉棒だけに。
 女の肉の悦びだけに。
 淫蕩な悦楽だけに。
 ただそれだけになっていくことが、胡乱の頭の片隅で感じられる。
 それさえも。
 激しい淫蕩な奔流に巻き込まれて消えていく。
 熱い牡の精汁の臭い。
 爛れた牝の愛液の匂い。
 汗ばんだ、しっとりとなじむ肌の感触。
 耐えられない堰を切ったような嬌声。
 鼻にかかった甘い吐息。
 そして圧力。
 体の奥底からわき出てくるものすごくて、狂おしくて、激しいそれ。
 その力にただ翻弄されていく。
 晶の前にまたもう一本だされた。
 何も考えず、それに舌をはわせ、しゃぶり、口づけし、舌をからめた。
 音をたてて舐める。しごく。
 目の前にある三本にくらいつくかのように貪欲に奉仕した。
 それを口にすればするぼと、体がしびれて、気持ちよくて。
 首筋が舐められ、乳首をころがされ、指であそこをなでられる。
 淫蕩な笑み。
 淫らにおぼれきった痴呆の笑み。
 5名の呼吸が重なり、声はどんどん高まっていく。
 体を支配する蕩けるようなしびれはそのまま激しい力となって、声をあげさせる。
 やらしく、いやらしく、響き渡るように。
 それでも、その力はゆるしてくれない。
 もっと、もっと、とさらに激しく。
 狂おしいほど。
 チラリとみてみると、高雅瀬と四条つかさが口づけしあっていた。
 そのふたりの肉棒に奉仕している晶。

「ああ、だめ。でちゃう。でちゃうよー」

 羽居がふるえて、自分のをはげしくこすりあげる。
 その先をちゅーと頬がへこむぐらいすすりあげて、舌でチロチロとする。
 とたん、男の汁があふれでる。
 びくんびくんと脈打って、降り注ぐ。
 蒼香の白濁液がかかったままの顔に、さらにこってりと羽居のものがかかる。
 目に、鼻に、口に、頬に、髪にかかって、どろどろになっていく。
 むせかえるような牡の匂い。
 女の体を灼く、やらしい匂い。
 鼻腔いっぱいにそれを吸い込む。
 唇からとろり、とこぼれるそれを舌で舐め取る。
 思い切って飲み込んでみると、喉に絡む。
 苦しい。
 でも、飲み込まないといけない、と思った。
 無理して飲み込み、唇を舌でなめ回す。
 すると、高雅瀬と四条のものが再び目の前に。
 しゃぶる。
 股間はあつく、とろとろで、シーツに染みができているぐらい。
 蒼香は必死に腰をゆすっている。
 それが肉襞をめくりあげて、こすりあけで、たまらない。
 まだ処女なのに、淫婦になったかのよう。
 あそこも、口も、精液で一杯な感じ。
 このどろどろな男のエキスで、体がいっぱいになっていく感じ。
 とたん、股間に熱いものがかけられる。
 ヤケドしそうなほど、あついとろみ。
 蒼香は魂が消えそうな声をあげて、腰をゆすって放出していた。
 それがあそこにかけられて、まるで発火しているよう。
 じんじんと火にあぶられていて、たまらない。
 おしっこを我慢しているような、そんなそわそわした腰が落ち着かない感じ。
 それが弾ける。
 高圧だったそれがそのまま――。
 体がのけ反る。
 足の指さえも反り返る。
 真っ白になる。
 すると、また別の人のが太股の間に入ってくる。
 今度は少し小さい。
 それにこすられて、まだ官能のうねりが高まっていく。
 また白くなる。
 すごい。
 すごい。
 体が官能の悦びに打ち震える。
 なんて――すごい。
 口では足りなかった。
 晶の口にはもう二本入っている。
 足りないので、目の前にふえた二本をそれぞれ手でしごく。
 ぬるぬるとした感触。
 むせかえる牡の精液臭。
 じんじんと。
 甘く。
 昏く。
 深く。
 こんなに。
 体をよじるほどの。
 こんなにも。
 すごい。
 たまらない。
 激しくて、強すぎて、感じすぎてしまって。
 またはじけて、白くなっていく。
 声さえでない。
 肌は真っ赤になり、目はうつろ。
 でも手も口もその淫蕩な動きはやめず、奉仕を続ける。
 圧力が晶の意識を幾度も高みへと導いていく。
 何度でイってしまう。
 何度でもイってしまう。
 熱い迸りが顔を汚す。
 たっぷりと注がれる。
 目も開けられないほど。
 手のひらのも弾ける。
 どろりとして、にちゃにちゃとした生ぬるい粘液でいっぱい。
 こぼれて鎖骨をけがし、その幼い胸をどろどろにする。
 股間は愛液と精液でぐちゃぐちゃで。
 それでも、すぐに新たな肉棒が晶を犯す。蹂躙する。
 休む暇なく。
 それを受け止める。
 口で、手で、素股で、胸で、髪で、舌で。
 熱い迸りを。
 幾本もの肉棒をこすりあげ、いくらでも迸らせる。
 そのたびに脳がしびれていく。
 こんなにも痺れて、何も考えられない。
 体中に精液がこびりつく。
 牡の印で犯させていく。
 やらしく爛れた灼けるような男臭。
 どろりとした精汁。
 それを晶の体に染みこませるかのように、たっぷりと注がれる。
 口に、手に、太股に、胸に。
 どろどろになるまで。
 そのたびに被虐のわななき、打ち震える。
 感極まって、細い細い声をあげる。
 たまらない声。
 さざ波のように幾度も晶は達する。
 達しても達しても、まだ肉棒は晶を苛む。
 体が痙攣してよじれていく。
 とろけてしまって、何も残らないほど。
 そして肉棒によって、さざ波のような、痺れるような、魂が消え去るような深い愉悦を味わい続けた。

 そして、ちらりと、晶は入り口を盗み見る。
 開け放たれた扉には沢山の同級生と先輩達。
 びっしりといる人、人、人。
 沢山いた。
 いっぱい。

(――まだ……いっぱい、いるのね……)

 淫蕩な笑みをそっとうかべて、被虐の悦びに打ち震えながら、新たに出された肉棒に、恭しく口づけした。































「晶さん、わかりましたね」

 黒フードつきマントに和服というとんでもない格好をしたあやしい人が、精液の海で惚けている晶にむかって言い放つ。
 全身白濁液でまみれた晶はぴくりとも反応しない。とろけきって、やらしい笑みをうかべるだけ。

「あなたは女性として最大限の辱めを受けたのです」

 その言葉にようやく目を開け、とろけるような、見た者をぞっとさせる淫らな笑みを浮かべる。
 そして妙に色っぽい唇をひらき、

































「ありがとうございます!」


 きっぱりはっきりと明快に言いきる。

































 …………。
 …………。
 …………。
 …………ええっと……。

 あやしい人は目が点になる。
 晶はうきうきとした様子で、にこにことしながら、あやしい人の手をつかむ。
 そして大きく振る。
 しぇいくはんどといわれるやつ。いわゆる「友愛のしるし」。

「これで冬コミの原稿が書けます! ばっちりです! 迫力あるものが書けます!」

 もぅ、るんるん♪な声。
 体中についた精液をおとしながら、妙につやつやになった肌でにこやかに微笑む。

「あ、あのぅ……」
「よーし、いけるぞ」

 聞いちゃいない。

「あのぅ、もしもし、女の人としてですね。こう、辱めを受けたわけですから……」

 完全にシカト。あえていうなら眼中なし。
 晶の脳裏に浮かび上がる、淫猥なイメージ。
 体験をもとにしたリアリティあふれる作品。
 とまらない。とめられない。アクセルベタ踏み状態。
 腐女子乱舞。
 そのときの内容はこんなの
 だから名前ぐらいは変えてやれって。
 乙女として終わってます。
 腐女子としては、始まりかもしれないけど。

 唖然としているあやしい人を無視して、晶は一生懸命、原稿を書いたそうな。
 あやしい人は無視されて、ふるふると震え、そして。
































「腐女子なんてぇぇぇぇーー!!」

























 腐女子なんてぇーー!




 んてぇーーー







 てぇーー











 ぇー

















 ちなみに冬コミで晶のかいた本は一部の人に『エロエロよー』として絶賛されたそうな。














< 了 >










あとがき


 ええっと、ゴメンなさい。
 なんか、とっても頭悪い感じで。そのまま強制的にエロになって。
 むー。
 なんかそのままずるずるとなって……ええっと……そ、そのぅ……。
 なんていっていいのやら。
 あはー、と笑って許してください。
 変わったモノが書きたかったな、と思っていたのはありまして。
 晶ちゃん以外全員が+凸ってどうかな? と思ったのがはじまりでして。
 うーん、どうしてこうなったんでしょうか?
 なんか落ちてないっぽい感じでなんともいえません。
 むー、頭ワルって感じ。

 ……もしかしなくても、頭悪いのは、わたし、なのでしょうか?

 最後に、この作品で直接リンクをはることをゆるしてくださいました、しにをさんに感謝を。

23rd. November. 2002. #74


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