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甘い夜
                                                  東海林 司



「志貴さんっ!もっと……もっと!」


 今あたしは志貴さんの部屋にいる。
 膣内に打ち込まれるように刺さった志貴さんの肉棒。
 つまりは志貴さんと身体を重ねている……俗に言うSEXをしているのだ。


「こ、琥珀さん俺……もう……」


 目の前には志貴さんの顔や身体。
 動くたびに汗が飛び散り、快感が襲ってくる。
 どうやら志貴さんの方はもう限界のようだ。
 

「う、うああああ……」


 あたしの膣から肉棒が抜かれ、それから白い液体が勢いよく出てくる。
 そしてあたしの身体に降り注ぎ、ツゥっと身体をつたいベッドに落ちる。
 志貴さんが絶頂を迎えたのだ。


「はあ……はあ……」


 肩で息をするあたしと志貴さん。
 志貴さんはそのままゆっくりとあたしの方へ倒れこんできた。


「ごめん……琥珀さん」


 本当に目と鼻の先にある志貴さんからの謝罪。
 それは多分……あたしが絶頂を迎えていないために発せられているのだろう。
 そう、あたしは志貴さんがイッたのにも関わらずイけなかったのだ。
 

「いえ、志貴さんが悪いわけでは……」


 本当に申し訳なさそうにする志貴さん。
 それがあたしの罪悪感をさらに高めさせる。
 だってあたしがイけないのは、あたしの所為だから。
 あたしは志貴さんが屋敷に帰ってくる前まで、色々させられていた。
 性的なことがほとんどで、それも普通のことではなかった。
 だからだろうか、普通のSEXではほとんどイけないのだ。


「でも、いつもいつも俺ばっかりだし……」


 そう言いながらゆっくりと背中に手を回す志岐さん。
 そのままぎゅっと抱きしめられる。
 

「そんなことはないですよ……」


 そう、あたしは志貴さんから色々なものを貰った。
 今の生活、生きる意味、そして愛……
 イけないことなど問題ではなかった。
 ただ、その度に志貴さんが落ち込むのが悔しかった。
 『あたしはSEXじゃ志貴さんを幸せに出来ない』
 そういう考えをもってしまうのだ。


「琥珀さん……むぐっ……」


「ンッ……」


 そんな考えを断ち切るように志貴さんと唇を重ねる。
 志貴さんの舌と一緒に唾液があたしの口に入ってくる。
 そしてその舌にあたしの舌を絡める。
 求め合うように……いや実際求め合っているのだ。
 温もり……大切な人からの温もりを。


「ん……」


 口を離すと、志貴さんの口の間に唾液の糸が繋がる。
 

「志貴さん……」


「琥珀さん……ごめん、俺が下手な所為で」


「そんなこと……ありません」


 確かに志貴さんはSEXが特別上手い方ではないと思う。
 それでも普通の人が相手なら充分な腕(?)の持ち主だ。
 だから志貴さんが謝る理由は無かった。


「琥珀さん……」


 志貴さんがゆっくりとあたしの首筋にキスをする。
 最近はいつもこのようにSEXの後、色々な場所を舐めてくれるのだ。
 マーキングのように、あたしに志貴さんの匂いがついていく。


「はあ……んっ……」


 胸や、肩をゆっくりと舐められる。
 そして次は耳だろうか……志貴さんの吐息が近づいてくるような気がした。


「はあああああああああん!!」


 生暖かい舌があたしの耳を刺激した瞬間のことだった。
 あたしの身体を何かが駆け巡った。
 結果、あたしの身体はビクリと跳ね上がる。


「え……?」


 きょとんとした志貴さんの顔。
 なにが起きたのだろうか……というような表情だ。
 

「はあ……はあ……」


 だが、それを考えてる余裕は無い。
 と、いうよりもボーっとしていて考えられないのだ。
 久々の感覚……ほとんど忘れていた感覚。


「もしかして……琥珀さん」


「そう……みたいです……」


 膣を触ってみると、ヒクヒクと痙攣しているのが分かった。
 そして先ほどとは比べ物にならないほどの液の量。
 それは、あたしの足や志貴さんのベッドを濡らしていた。
 多分、絶頂を迎えた時に吹き出たのだろう。
 そう、今あたしは絶頂を迎えた……つまりイッたのだ。


「琥珀さんって耳弱いの……?」


「……かもしれません」


 そういえば考えたことなど無かった。
 耳を攻められたことは無いし、気にすることも無かった。
 

「じゃあ……もう1回……」


 そう言って志貴さんが耳に顔を近づける。
 そして耳の外側や中を舌で舐める。
 

「や、ひゃあああ!!」


 そしてその度に身体に電流が走るのを感じるあたし。
 先ほどイッた為か、今回は前以上にビクッと震える。
 まるで永遠にこれが続くかと思うほどだった。


「琥珀さん……可愛いよ」


 そう言いながら志貴さんは、膣にそそり立った肉棒を入れようと近づける。
 濡れ具合は充分……というよりも溢れすぎているぐらいだった。
 そしてそのまま志貴さんは腰をスライドさせた。


「あっ!志貴さんっ!!」


 膣の肉を押しのけて肉棒が入ってくる。
 さきほどよりそれの大きさが大きく感じられてた。
 多分、あたしがイっているからだろう。


「すごい……琥珀さんのここ、凄く締まっている」


「はあ……やあ……言わないでぇ……」


 その間も耳は志貴さんの舌に責められつづける。
 上と下、どちらも意識は持っていけなかった。
 両方とも気持ちよすぎるのだ。
 

「あっ……琥珀さんまた俺っ」


「来て……来てくださいっ!!」


 もう何度イッたか分からない。
 膣からはドンドンと液が漏れている。
 志貴さんの肉棒があたしの中枢神経を刺激しているようだった。
 耳と膣が繋がっているような……そんな感じ。
 快楽の底に落ちていきそうな感覚。
 

「うあああああああああああああ!!」


「ああああああああああ!!」


 


「志貴さん……」


 ベッドの中で、裸で並んで横になる2人。
 お互いの顔が見えるように、向かい合って。


「琥珀さん……気持ちよかった?」


 クシャっと頭を撫でられる。
 SEXが終わった後はいつもこうしてくれるのだ。
 そしてあたしはこの時間がとても大好きだ。


「はい……それは、もう」


 先ほどのことを思い出し、顔に熱が篭る。
 はっきり言って乱れすぎていた。
 自分でもびっくりするぐらい……いやそれ以上だった。


「琥珀さん……本当によかったね」


 そう言いながらキスをしてくれる志貴さん。
 それを受け止めながらゆっくりと志貴さんに抱きつく。


「はい……ありがとうございます」


 今日はいつもの倍以上疲れているだろう。
 数十回にも及ぶ絶頂の波。
 実はあの後、もう1度したのだ。


「あ……」


 意識がゆっくりと薄れてくるのを感じる。
 どうやら体力の限界らしく、身体が睡眠を欲しているようだ。


「琥珀さん……寝ていいよ?」


「あ……はい……すいません」


 どうにかそれだけ言って眠りに落ちる。
 志貴さんに抱かれながら……