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【 いつか夢の中で 】
                       you


「秋葉」
私を呼ぶ声。
それと共に、腰が引き寄せられる。

「兄さん…」
甘い艶やかな声で愛しい兄を呼び、引き寄せられた体に合わせて、自らも兄に
抱きつく。
抱きつく事で静まるかと思っていた胸の熱いものは、予想に反してさらに熱く、
大きく、切なさを増す。

「兄さん。兄さん」
何度も呼びながら、顔を胸元に押しつける。
目頭が熱くなり、涙が頬を伝う。

言葉が見つからない。
言いたい事がいっぱいあったはずなのに。
何一つ、思い出せない。

兄さんがそこにいてくれる。
ただ、その事だけで気持ちがいっぱいになる。
他に何も要らない。
兄さんがいてくれるだけで――――

志貴の胸から顔を離し、顔を見つめる。
涙でよく見えないが、兄さんも見つめ返しているのがわかる。
ゆっくりと近付く、兄さんの顔。
いつの間にか顎に添えられた手が、唇を引きつける。

そして―――――
世界が暗転する。







目を開けると、白い布地が目に入る。
霞みがかった思考がクリアになってゆく。

秋葉は自分のベッドで丸まった布団を抱きしめて泣いていたのだ。
「また、なのね」
もう何度見ただろうか。
愛しい兄の夢を。
ナイフ一本残していなくなった、薄情な兄の夢を。


「秋葉様、お時間です」
部屋の外から琥珀の声がする。
「今行くわ」
そう言うと袖口で涙をぬぐい、気だるい様子で立ち上がって学校へ行く準備を
始める。

秋葉は浅上の寮へは戻っていなかった。
今戻ってしまったら、兄が戻って来ない事を認めてしまう気がして…

制服に着替えた秋葉は部屋を出ようとドアノブに手をかけ、
そして、わずかに振り返る。

「また、夢で逢いましょう。兄さん」





――――― 了 ――――――




もうダメです。
書こうとしていたSSがどうにも進まなくて、急遽方向転換しました。
きっと私は闇属性だから、清純な秋葉様が書けないんです(涙
そしてコレも、とてもSSと呼べない短かさに加え、よくわかんない状況。
秋葉様、こんなの書いてしまいました、赦してください。
阿羅本様、こんなの送ってごめんなさい。
読んでくれた方、御目汚しをさせてしまい失礼しました。
卑屈やなぁ自分w


2003/06/27 you