二人は息も止まるような接吻の中に溺れていた。
 やがて背中に回された志貴の片腕が引き寄せられ、秋葉のかすかに膨らんだ
胸に宛われる。志貴の指がくりくりと秋葉の乳首をこねると、唇を付けたまま
で秋葉は軽い声を漏らす。

「っぷ、ぁー……ぁぁ……」

 唇と外して唾を滴らせる秋葉の、声にならない息遣いは官能に震える声となる。
敷き布団に肘を付いて持ち上げた身体の秋葉は、薄い胸の敏感な突起が弄られ
る度に背中を波打たせていた。

 志貴は指だけで秋葉の乳首を弄っていたが、身体の位置をずらして胸に頭を
寄せる様な、秋葉の胸に抱き込まれるような姿勢になる。志貴の唇が秋葉の薄
い血の色を感じさせる乳首に吸い付くと――ちゅぱり、という湿っぽい音を立
てて吸う。

「あっ、兄さん……そんな……」

 志貴は唇越しに秋葉の乳首を甘噛みし、刺激を与える。噛んだかと思うと舌
で転がし、口で吸い上げたかと思うとぷちゅ、と音を立てて押しつける。
 人よりも胸の薄い秋葉には、こうやって胸を胸を重点的に責められると恥ず
かしさに身を苛まれる。こんなに小さな胸なのに、志貴は一心不乱に愛撫して
くれる――乳首から伝わる敏感な快感と共に、秋葉の背筋は震え上がった。

「や……兄さん、私……」

 志貴の唇は秋葉の右の胸から左の胸に移り、唾液に濡れた右の胸は、志貴の
指によってふにゅりと撫でられる。志貴は口でしばらく秋葉の胸を吸っていた
が、やがて唇を離して両手で乳首をこねる。

「ほら、秋葉の乳首がこんなに硬くなって……」
「や、やだ……兄さん……」

 秋葉は志貴の指が動くたびに、びくりびくりと感じていた。
 志貴はそんな感じる秋葉の貌を舌から眺め、薄く笑いながら指でぴん、と秋
葉の突起を弾く。

「あっ……ああ……」

 思わぬ刺激に声を上げる秋葉であったが、すぐに志貴の指が胸を離れて身体
を下っていくのを感じていた。だが、秋葉は――抱き合って接吻していたとき
から僅かに感じていた、身体の異調に徐々に無視できなくなっていた。

 ――そんな、兄さんと抱き合っているのに
 ――私ったら、そんな

 秋葉は、自分の身体に何が起こっているかが分かった。
 志貴の指が秋葉の恥毛を掻き分け、秘部に触れそうになったその時。
 秋葉は、思わず膝を併せて股を閉じてしまった。

「や、やだっ、兄さん……」

 いつもであったら志貴のすることに嫌がらない秋葉にしては、珍しい拒絶の態度。

 指は閉ざされた秋葉の脚に阻まれ、毛の生えた丘の上を彷徨っている。秋葉
の肉付きは薄く、脚と脚とを合わせたつもりでも股間に僅かな隙間が開くくら
いであり、そこに指を通して秋葉の恥部をなぞり上げることも志貴には出来た。

 だが、志貴は秋葉の顔をきょとんとして見上げる。
 秋葉のその顔が、眉間に皺を寄せ何かを我慢するかのように引きつっている。

「どうした?秋葉?」

 そう言いながらも志貴の指が秋葉の恥丘をわさわさを撫で、戯れに恥骨の上
辺りを指で押すと、秋葉の顔色はどんどん変わっていった。
 秋葉は、苦しげに息をもらすと、恥ずかしそうに囁く。そして、もじもじと
腰を震わせながら――

「兄さん……お、お手洗いに行かせてください……」

 切れ切れの秋葉の声に、志貴はようやく得心した。
 この離れに来てからと言うもの、四六時中二人は抱き合っていたが、時折人
間の生理的要求から中座して用を足すことはあった。だが、それも無言のこと
であり、こうやって行為の最中に口で言われることは初めてのことであった。

 志貴の耳には、苦しげな秋葉の声が――酷く蠱惑的に感じた。
 抱きしめられ、嬲られ、貫かれた時に聞く秋葉の嬌声とはまたひと味違った、
恥ずかしさに満ちた声。爛熟した和室の空気と肌と汗の薫りは志貴の中の何か
を狂わせていた。

 ――もっと、聞きたい

 志貴の指が、秋葉の脚を割って恥部に侵入する。

「ひやぁうっ!兄さんッ!」

 志貴の指が秋葉の股間に割って入り、敏感な秘部を撫でる。志貴の指は堅く
合わせられた秋葉の脚を割ると、柔らかい秘肉の中に潜り込み、いつもはあま
り刺激しないくぼんだ尿道口をとんとん、と叩く。
 いつもは何でもない愛撫だったが、今の秋葉には陰核を舐められるよりも効
果的であった。たちまち秋葉は腕から力を失い、志貴の上に倒れかかる。

「や、やめて、兄さん……」
「……ふーん、秋葉はおしっこがしたいんだね」

 ふにふにと陰部の中の窪みを撫でながら志貴が言うと、見る見るうちに秋葉
の顔が紅くなる。自分の尿意を改めて指摘され、その出口を刺激され、まるで
自分が抵抗を奪われ志貴の腕の中で震える力のない子供になってしまったか様
な、恥ずかしさと無力さに苛まれるような感じが秋葉にはしていた。

「……じゃぁ、ここで出しちゃう?」
「やっ、ダメです、何を言っているんですかにいさん……ひゃぁう……」

 なんとか抗議の声を上げようとした秋葉であったが、志貴の指は尿道口のみ
ならず、その上の皮を被った蕾まで遊ばれてしまっていた。秋葉は志貴の頭を
抱きしめて、体の中に沸き上がる耐え難い尿意を黙って堪えるばかりである。

 志貴はふざけて秋葉の身体を刺激して、恥ずかしげに震える秋葉の新しい痴
態を楽しんでいた。しかし、秋葉の身体の様子を察すると、また別の考えが志
貴の中に浮かんだ。
 志貴は秋葉の陰部から指を離し、ほっとする秋葉の身体から身を離す。

 秋葉はやっと志貴に許してもらえたのか、と思って安堵したが――それは誤
りだった。

 志貴は布団の上に立ち膝になると、秋葉の背中と膝に手を回して、まるでお
姫様を抱き上げるように持ち上げる。そして、いまや全裸になっている秋葉は、
不意に志貴に抱き上げられたことで動揺を隠しきれなかった。

「に、兄さん!一体何を……」
「いや、秋葉はおしっこがしたいんだよね」

 妙に恥ずかしげもなくその言葉を口にする志貴に、秋葉は赤面閉口するばか
りであった。だが、秋葉は志貴に抱き上げられ、離れの中を進んでいくのが分
かった。向かうのは東北の方角にある、風呂場とトイレの方向。

 あ、兄さんが私をお手洗いに連れていってくれるんだ……とぼんやり秋葉は
考えていた。だが、尿意を我慢する秋葉の予想はあっさりと裏切られる。

「……え?」

 志貴はトイレのドアの前を素通りして、風呂場の引き戸を秋葉を抱いたまま
器用に開ける。そして、二人とも裸の為に洗い場を通り抜け、風呂場の中に入る。
 和室の離れの中では、この風呂場だけは比較的新しく改装されたものであっ
た。白いタイルの風呂場には、朝の光が射し込んで酷く清々しい。

「兄さん?ここは、お風呂場じゃ……お手洗いは……」

 狼狽する秋葉を下ろし、志貴は秋葉を風呂桶の縁に座らせる。一体何が起こっ
たかが分からない秋葉は、されるまままにつくねんと風呂桶の縁に腰掛け、志
貴の顔を不思議そうに眺める。
 志貴は風呂場の床に膝を付き、悪戯な顔で秋葉を見上げる。

「いや、秋葉はしたいんだろう?だから……したらいい」
「でも、ここはお風呂場ですよ?兄さん?」

 志貴は秋葉の声に笑って答える。

「お風呂場だから出来るじゃないか。ここでしても流せば大丈夫だし……それに、
俺は秋葉が出すのを見てみたい」

 そう、まるで何でもないことを言うかのように口にした志貴に秋葉は目を白
黒させた。一体何を志貴が言っているのかを理解しがたい秋葉であったが、だ
が体の中の尿意だけは誤魔化しようがなかった。
 秋葉は下腹部の膨満感に、思わず背筋を震わせる。

「ほら、秋葉……我慢できないんだろう?
 俺に見えるように、脚を開いて……」

 秋葉は、志貴にされるがままに脚を開く。両手で志貴は秋葉の膝を掴み、そ
のまま、股を開かせると、黒い陰毛に彩られた秋葉の、つつましやかな女性器
が露わになる。

 秋葉は明るい中で志貴に全てが見られていることを知り、消え入りたいよう
な恥ずかしさに襲われる。志貴に抱かれたり愛撫されたりするのは平気であっ
たが、こんな風に身体を無防備に晒すことは、恥ずかさを隠しきれない。

 そして、その上……
 秋葉は喉の奥が詰まって頭が固くなるような、尿意の我慢の最終段階に達し
ていた。腰は小刻みに上下し、もし今秋葉が立ち上がっていたら我慢するため
に足踏みをしていることであろう。

 志貴は何もしないでも尿意に苛まれる秋葉の身体を嬉しげに眺めていたが、
少し首をかしげて秋葉に問いかける。

「ん、ちょっと奥まってて見えないな……秋葉、指で開いてくれないか?」
「……はい、兄さん……」

 どこを?ともはや秋葉は尋ねなかった。ゆるゆると秋葉は右手を下げて行く
と、はしたなく広げられた脚の付け根に添える。そして、人差し指と中指で陰
唇の脇の恥毛をかきわけ、何度も志貴に嬲られた粘膜の中に指を差し入れる。

「んぅっ……」

 秋葉の喉がかすかに呻き、指がその秘肉を割る。
 秋葉の指は、その秘肉の内側の唇を引っかけるように開き、薄ピンク色の秋
葉の奥の奥を明らかにしてしまっていた。しゃがむ志貴の目の前に晒される、
秋葉の陰核と尿道、そして膣口。志貴はその中で、尿道口が今にも耐えきれな
い風情で震えているのを見た。

 志貴に向かって陰部を広げて見せた秋葉は、その恥ずかしさから頭がぼーっ
となっていた。だが、自分の足下で膝を付く志貴の姿勢に、今更ながらあるこ
とに気がつく。
 秋葉はもはや出かかった尿意をなんとか堪え、呻くように言葉を吐く

「だ、だめです……兄さん、そこにいたら私のが懸かって……」
「ああ……心配しなくても良いよ、秋葉。
 その為のお風呂場だからね」

 志貴は、奇妙なぐらい爽やかな笑顔で言う。
 だが、その言葉は秋葉の中で、もはや耐えきれなくなっていた生理的欲求の
頸木を絶せる効果を発揮しはじめていた。秋葉は震え、悶える。

 ――そんな、兄さんに……しちゃうだなんて
 ――私はなんてはしたない妹……

「ほら、はしたない所を俺に見せてくれ、秋葉――」

 秋葉の心の中を読むかのような、志貴の甘い声。
 それが――限界であった。

 秋葉の身体がかすかに震えたかと思うと、指に割り広げられた陰部の中の尿
道口から、ちょろり、と秋葉の中の尿が漏れる。そして、一度出てしまった尿
はそのまま勢いを付けて、秋葉の秘部から放たれた。

 シャァァァァァ

「兄さん……見ないで……」

 秋葉は脚を開き、指でも開いた自分の奥底を晒しながら、そう呟く。
 流れる尿はアーチを描き、志貴の胸に当たる。ぴちゃぴちゃと音を立てる秋
葉の尿は、かすかな湯気とアンモニア臭を漂わせていたが、それをしている秋
葉にも、受けている志貴にも不潔なもの、という気がしなかった。

 やがて、秋葉の放尿の勢いは弱まり、零れた尿が秋葉の粘膜をしとどに濡ら
す。今まで我慢に我慢を重ねていた尿意は出し終わったことで、思わずすっき
りしてしまった秋葉が吐息を漏らして、指を離して脚を閉じようとした。

「……うん、秋葉のだったら綺麗なものだね」

 志貴は身体に懸かった秋葉の液体を見て、ふざけたように言う。
 その声で我に返った秋葉は、足下の兄の姿を見る。そこには、胸を濡らした
志貴の姿があり、その胸を濡らしたのが秋葉自身であると分かると、妙に恥ず
かしいような――だがなんとなく満たされたようなものを感じてしまう。

「兄さん……その」

 秋葉は風呂桶に腰掛け、股間を隠すように手をついた姿勢でおずおずと志貴
に話しかける。秋葉の放尿の姿を目に収めた志貴は、自分に掛けられたにも関
わらず満足したような顔色で秋葉を見つめていた。

「……兄さん、身体……流しませんか?」
「ああ、そうしよう……」

(To Be Continued....)