ボ ク と 魔 王 の 物 語
Fan Fiction







君はどんな物語が好きで、
そこから何か
作り上げたのかな?
































ボクが創り出した物語?
































そうだ
お前が創り出したものだ。

何を奏でる?
何を歌う?
そして
――何を語るのだ?
































ボクができることは
ただ――唄うこと。
ほら、ボクって……でしょ?
































そうだな。

では歌うがよい。
その口で奏でるがよい。
お前の創り出したものを。
































思えばこれがボクが、
自分の意志で初めて唄ったんだ。。
いままでは、言われて唄っていたから。
ボクの意志ではなく、他人の意志で。
































良い声でさえずる。
さすが……だ。

では、褒美をくれてやろう。
魔王の前で怖じけつかず、
唄ったお前に
魔王の褒美を、な。
































褒美なんていらない。
いや――でも
これなら欲しいな。

ボクは人間になりたい。
人間にしてくれる?
































それがお前の望む褒美ならば。
魔王の名において
お前を人間にしてやろう。
しかしそれには条件がある。
































条件って――なに?
教えて。
ボクが人間になれる方法があるなんて。
――夢みたい。
















その条件とは
世界を愛することだ。

 お前を取り囲む
綺麗なもの、醜いもの、
聖なるもの、不浄なるもの。
――そのすべてを。

ただ、愛するのだ。
































 愛する。
 そんなこと――できない。

 愛するなんて――。
 ボクにはできないよ。
































 ならば諦めるしかあるまい。
 人間になろうなどと考えてはならぬ。
 それでも――なお
 望むのならば――愛するがよい。
































 無理だよ!
















 誰も
















 ボクを
















 愛してなんて
















 くれない、から……。
































 嗤わせてくれる。
 誰が機械仕掛けのお前などを愛するというのか。
 だから、お前は機械仕掛けなのだ。
 人間などにはなれない。
 愛を乞いへつらう機械仕掛けだ。