ふふふのふ


 「志貴ー」

あのアルクェイドの澄んだ声とともに、窓が音を立てて開く。
白いカーテンがひらめいて、ばさばさとなびく。
時刻は夜。
いつもの来襲であった。
アルクェイドは志貴がアパートへ行かないと、こうして夜やってくる。
愛している志貴への夜這いよ、なんて言うけど、そんな色っぽいもんじゃない、と志貴は常々思っていた。
 まぁそのあとの睦事は色っぽいのだが、その前に翡翠なり琥珀さんなり、秋葉なりに気づかれてドタバタと喧嘩したり、にらみ合ったりと、間を取り持つ志貴とすれば、勘弁してくれ、なのだが。
でも志貴は天真爛漫な彼女に文句はいうが、絶対にくるな、などと強くはいえなかった。
なんだかんだいって――志貴はこうしてやってくるアルクェイドがいじらしいと感じていたからで。
一分でも一秒でも側にいたい、とアルクェイドは真っ赤になってもじもじしながら言うのだ。
それが初々しいアルクェイドのささやかな望み。
だから――そのくらいは叶えてやるか、などと甲斐性を見せようと努力していた。
 やれやれまたか、と諦め顔で志貴はそちらを向くと、固まった。
思考も、肉体も、精神までもがすべて凍りついた。
世界までも凍り付く。
息さえできないほど。
すべての動きが止まり、風になびいていたはずのカーテンでさえ、そのまま固形化したよう。
 そこにいるは、アルクェイドではない、『何か』だった。

「やっほー志貴」

そのちんくしゃでチビなそれはパタパタパタと耳を動かして、手をふっていた。
 志貴は全身からいやに粘つく脂汗を流し、生唾を飲み込むと、怖々と尋ねた。

「……もしかして……あるくぇいど……さん?」

アルクェイドをカタカナで言えないほど硬直しきった声。
 しかしそのなまものは、ベットの上に丸くなり、まるでこの部屋の主かのようにリラックスしきって、ごろごろと喉を鳴らしている。
どうみても猫。というよりネコ。というか化けネコ。それよりも魔物や妖魔といった類。
そして志貴を見るとにんまりと邪悪な笑みを浮かべる。
 そのおぞましさに、志貴は恐怖した。

「――とって」
「……へ?」

突然の言葉に志貴は気の抜けた返事をしてしまう。
まだ志貴の頭はパニックに陥ったままだった。

「だから――とって、責任を」
「……な、なぁアルクェイド……」

おそるおそる尋ねる。

「……責任って……」
「わたしを抱いて」
「へっ!?」
「だ・い・て(はぁとまぁく)」

 志貴は目を閉じ、胸に手を当てる。

――先生、どうしたらいいんですか?

  『どんな人間だって人生っていうのは落とし穴だらけなのよ』

先生の言葉を思い出す。
でもあんまりだ、と思う。
こんな落とし穴は避けられません。
というか、こんな落とし穴、あり?
不条理だと思った。
目頭が熱い。
つい涙がこぼれそうになるのを堪える。

  『いい? ピンチの時はまず落ち着いて、その後によくものを考えるコト』

泣いている場合じゃない、と、まずは落ち着いてそれを観察することにした。
 金髪、朱い瞳、白いサマーセーター、紫のスカート――どのパーツをみてもアルクェイドである。
しかしなぜ――寄り集まるとまったく別のなまものになるのか、志貴はわからなかった。というより、わかるとなにか危険だと思った。
 軽く頭痛がする。
このまま貧血になって倒れればいいのにとさえ思う。
そうすればこんな事態から逃れられるのに。

 とたん、強い衝撃。
そのちんくしゃななまものは志貴へとタックルを決めていた。
都古ちゃんの地獄タックルに勝るとも劣らないその破壊力に、志貴は倒れ込む。
一瞬のうちにマウント・ポジションをとられてしまう。
 時がとまる。
重い沈黙と圧迫感がこの部屋を支配していた。
相手は必殺のポジションにいた。

「……あ、あのぅ……アルクェイド……さん」

刺激しないようにそっと尋ねる。
 しかしにんまりと笑うそのなまもの。
ネズミを捕らえたネコのようなその笑みに、心臓が鷲掴みにされたかのような恐怖を覚える。

「ふふふ、志貴」

ペロリと舌をなめずり上げる。
ネコのように目を爛々と輝かせて、

「わたしが抱いてあげりゅ」

――助けて!

志貴は心底思った。
神が死ぬなら神をも殺せるなんて思い上がったことを考えた俺が悪かったです。反省します。だから、助けて、神様!
どんなに志貴が助けを乞うても神様は知らんぷり。
 そのちんくしゃのネコはふふふーんと鼻歌を歌いながら、ズボンを降ろしていく。

「ば、バカ、やめろ……やめろってば!」

志貴は身をよじる。どかそうと手を伸ばす。
しかし、手がそいつの躰にふれると、その奇妙な感触に心奪われていく。
柔らかくて、ぷにぷにしていて、なんていうか――気持ちいい手触り。
こんなに柔らかいくせに芯があって、こねくりまわしたくなるような感触。
どこまでも、いつまでもいじっていたいような、指先をとらえて離さない、このもっちりとした快感。

「……ぅん」

そしてそいつが甘く啼く。

「……もぅ……志貴ったら……だ・い・た・ん・にゃんだから」

アルクェイドのあの澄んだ声でゾクゾクするようなことをいわれる。
でも指先からつたわる柔らかさはとても淫らで――レンを抱いているようなあの感じに近い。
いやレンを洋菓子にたとえるならこいつは和菓子。
求める味も香りも違う。
レンがぷるるんとしたゼリーならば、こいつは大福のような感じ。

――って、俺はペトフィリアなんかじゃない。断じてない。
……でもこの感触。このぷにぷに感。

心が引きずられていく。ゆさぶられて、胡乱になっていく。なってしまう。
突然、快感が股間から背筋を一気に駆け抜けた。
息がつまるほど。
 そいつはいつのまにかトランクスまで降ろし、志貴のを頬張っていた。
暖かくどろりとした中に包み込み、音をたてて啜る。
いきなり尿道口に舌をねじ込み、擦り上げてくる。
体験したことのない刺激が強引に背骨を走り抜け、脳髄をかき乱す。
つい腰を引こうとするが、床のためできない。
そればかりか、それは志貴の尻をつかんで逃げられないようにする。
そして勃った竿をゆっくりと、ゆっくりと舐め始めたのだ。
 志貴は息も絶え絶えたった。
その舌の感触がたまらない。
身もだえしても、その愉悦は志貴の神経を爛れさせて逃げさせてくれない。

「……うぁ……凄ぃっ……」

志貴の陰茎を初めての快感が襲っていた。
とろけるほど熱い舌が肉をこすってくる。
ザラザラの感覚。
目の細かいヤスリで撫でられるような感覚。
直接神経に淫靡な悦楽をそそがれるような、味わったことのない異様な感覚。
神経の繊維ひとつひとつを淫猥なエキスでひたしていく感覚。
ジンジンと痺れて、たゆんだ悦楽が志貴をひたらせていく。
ひたってしまう。
志貴というものすべてがひたってしまって、溺れていくようなあの感覚。
あまりにも強すぎる官能に苦痛さえ覚えてしまうほど。
息がつまってしまうほど。
息ができず、ただ酸素をもとめて口をだらしなくあける。
それでも酸素は肺にはいってこない。
強い焦燥感と惚けるほどの甘美な愉悦。
それにとけていくよう。
刮られ、削られるような感覚が亀頭の粘膜を刺激し、鈴口からどろりとした腺液がもれてくる。
その液をその細かい舌で掬われ、さらに身震いする。
そしてその液をなすりつけながら、竿を、亀頭を、筋を舐められていく。
舌をだらんとだし、妙にドクドクしく発揮とした色の舌を股間に近づける。
そしてそれで袋から陰茎の先までを一気に舐め上げる。
出してしまったかと思うほどの快感。
躰がふるえ、肛門がきゅっと引き締まる。
鈴口からどんどん腺液を垂れ流してしまう。女の人のように濡らしてしまう。
いてもたってもいられない感覚に、志貴は身もだえするばかり。
 それでもそいつの責めは終わらない。
ザラザラとした肉粒のある舌で、でっぱりのくびれをえぐるようにこすり上げる。
甘痒い感触がすべての骨をとかしたようで。
志貴はただ喘ぐのみ。
だらしなく開いた口から涎があふれ、嬌声が漏れる。
責め立てられて、いやいやしながら、その強烈なほどの快感に溺れていくのはゾっとしてしまうが、だからこそ、神経を犯していく甘美なものであった。
 そしてそいつは志貴の皺袋をつかむと、ゆっくりともみ上げる。
胡桃を割るようにもみ上げ、強く弱く、ただ快感を引き出すために。
そして竿から舌を離すと、その皺袋を口に含む。
手は逆に竿をにぎってこすり始める。
ざらりとした肉粒が皺ごしに睾丸を責め立てる。
お風呂に入ったかのような熱い愉悦。神経がバラバラになっていくあの感じ。
そして入念に舐める舌によって、官能が幾度となく走っていく。
むず痒く、甘痒い感覚。
そしてむっとするほどの男の臭い。
しごかれて、切っ先からどんどん液がもれ、青臭い牡の臭いが漂ってくる。
腹の上にちょこんと乗ったこいつに逆らえず、ただただ快感を引き出される志貴。

「……ふふふ、志貴って可愛いにゃー」

たまらなかった。頬張られながらしゃべられると、じぃんと響いて心地よい。
息と舌が思っても見ない方向から志貴を嬲る。
 こんなのはアルクェイドにも、シエル先輩にも、もちろん秋葉にも、翡翠にも、琥珀さんからも味わったことがなかった。
 目から涙がこぼれてしまう。
あまりにも強い快感に涙腺がゆるみ、涙してしまう。
どんどん高まる圧力が男根の付け根から発生する。
きゅっと睾丸が引き締まるようなひきつる感覚。
まだ1分もたっていないというのに、志貴は達してしまいそうだった。

「どんどん臭いが強くなるにゃー。いく? いくの、志貴?」

うわずった興奮した声でそれは志貴のをさらに強く激しくしごく。
両手で志貴のをもぐような勢いで強くいじる。
どんどん玉からの圧力が高まっていく。

「いくなら、いくというのにゃー」

志貴はたた頷くばかり。

「いく。いく。いくっ。いくっ! いくよっ、いくよアルクェイドっ!!」

肉棒の先がふくらみ、さらに大きくびくんと震えると、精液を吐き出した。
それを絞り出すかのように両手でこすりあげるそいつ。
先の切れ目からどんどんあふれ出る牡のエキスに、そいつは目を爛々と輝かせていた。
鼻の奥をツーンとさせるような強い性臭をうっとりと嗅ぎながら、こすりあげる。
白い粘液はそいつの顔ばかりか服や躰まで汚していく。
粘つくそれは透き通るような金髪はまぶた、その小さな口や鼻までもどろどろにしていく。
 そしてようやくだしきって、鈴口からとろりと滴が垂れた。

「いっぱいだしたにゃー」

名残惜しいのかまだ肉棒をいじり続けるそいつ。
志貴はぐったりとしていた。
今ので精も根も尽きたようだった。
ぜいぜいと肩で息をしている。

「……よかったでしょー志貴」

ほおずりしてくる。
そのぷにぷにの頬の感触が気持ちいい。
少し潤んだ朱い瞳を細め、その舌で顔をザラリと舐める。
まるでネコのよう。
っていうネコそのものなのだが。
ごろごろと喉を鳴らし、すり寄ってきて、甘えてくる。
そのネコのような振る舞い、そのぷにぷに感、小さくて腕にすっぽりと抱きしめられるほどの大きさ。
それらのすべてが志貴の思考を胡乱にさせていく。
もうどうでもよかった。
考えることさえできなかった。
その幼児的な体型が。
そのぷにぷに感が。
その猫かげんが。
志貴を狂わせていく。
悦楽の波に理性が去られてしまい、残ったのは牡の本能だけで――。
 ぷつん、と音を感じた気がして、そいつはビクンとして、全身の毛を逆立てる。ふーふーと突然息が荒くなる。
 志貴はとても怖い目でそれを見据えた。
なんていうか覚悟完了した目。
シエル先輩にも、アルクェイドにも、当然、秋葉にも翡翠にも琥珀さんにも見せた、あの目。
暴走した時の志貴の目。絶倫超人のそれだった。
 がばっと立ち上がると、そいつを下に組み敷き、そのサマーセーターを脱がす。
下にはなんにもつけていない。
キャミソールもブラジャーもつけていない真っ白でシミ一つない肌に思わずため息をついた。
ぺったんこな胸。
あばらの浮いた痛々しい胸。
それに幻惑される。
志貴はまだふくらんでもいない胸を貪る。
そのピンク色の乳首をつまみ、こねまわし、しゃぶり、そして嬲る。
その秋葉よりも薄い胸に口づけし、跡を残していく。
舌をはいずりまわせ、唾液でてらてらにしていく。
白く幼い肢体は唾液で汚れ、淫らに輝いていた。

「……ゃ」

そいつは鼻にかかった甘い喘ぎをもらしながら、口元に手をやって、声を抑えようとしている。
でも志貴はその手を押さえ、その幼い声をもっと聞こうとする。
そいつの顔はすでに朱色に染まり、期待に満ちた潤んだ瞳で志貴を見つめていた。
呼吸は荒く、唇はわなわなと震えていて、こんなに小さいのに志貴の心をとらえて離さなかった。
そんな今までの汚れた感じではなく、無垢な幼児のように見えて、興奮した。
 甘く啼き、くすぐるような吐息を感じるたびに志貴は頭がくらくらしていく。
鎖骨をなめ、手を這わせ、その少し汗ばんでしょっぱい肌を味わっていった。
そしてバンザイをさせて、セーターを脱がすと、その手のちっちゃい指をしゃぶり、手首をなめ、肘をさすり、脇を舐め上げる。
 びくんびくと感じて震える姿に愛おしさを感じながら、その唇を奪う。
そのちっちゃなぷにぷにな唇。
舌は入れない。
そのぷにぷにの桜色の唇をついばみ、甘噛みし、味わう。

「……あちき、あちき……」

口の端からこぼれる吐息を肌に感じながら、そのぷるんとして柔らかく弾力のある頬を指でつつき、舌を這わせる。
吸い付くような肌が赤く染め上げられていて、幼いくせにとても色っぽく。
あのぶっきらぼうな口調は鳴りを潜め、かすれた息だけが漏れてくる。
震える躰を抱きしめて、その暖かくやわやわな感触を楽しむと、指先だけでこの青い躰をなでる。
そっと撫でるたびに、そいつの中に甘い電撃が走る。
強く弱く、まるで狂わせるかのように。
 志貴がふれたところから甘くパチパチと火花が散り、それが躰の中を蕩けさせていく。
情熱的な波が志貴の指先から伝わってきて、それが神経の帯をひとつずつほどいていく。
神経を流れるものは甘美なこの電流だけ。
それが頭脳に集まって、甘くわななかせる。
躰がいうことを聞かない。
この悦楽のために、思考でさえもいうことがきかない。
志貴の甘い指先が、はいずり回る舌が、揉まれる感触が、そして情熱が、躰と心から力をうばっていく。
ぐにゃんぐにゃんにさせて、とろかしていく。
 胡乱な目つきで志貴を見つめるそいつ。
金髪は乱れ、その運な瞳には淫蕩な輝きがあった。
いやらしくねっとりとした息を吐きながら、志貴に両手を伸ばす。
その手をつかんで口づけすると、そのまま抱きしめる。
これもそっと志貴の首に手を回し、抱擁する。
ぎゅぅっと志貴に抱かれて、それは至福の笑みを浮かべる。
ぎゅぅっと抱いて、志貴はそのぷにぷにした抱き心地を味わう。
 しばしの抱擁のあと、ようやくふたりは離れる。
そして紫色のスカートをゆっくりと脱がす。
そのすらりとした足とほっそりとした太股。
そして股間を隠す白いパンツ。
パンティでもスキャンティでもなく、パンツであることに志貴は感動した。
 そいつは震えながらも志貴のことをじいっと見ていた。
その怯えた視線がたまらなかった。
愛おしささえ募ってきてしまう。
 そしてその白いパンツの上からそっと撫でる。
ゆっくりとゆっくりと、上から下へ。下から上へと撫でて、反応を見てみる。
なにか感じているのか眉を八の字にしかめながら、躰をもぞもぞと動かしている。
鼻から少し荒い息をもらし、声を押し殺して喘いでいた。
それがとてもそそった。
そしてゆっくりとあの臭いがした。
白いパンツに小さくシミがうかびあがってきて。
ぴったりと張り付いていく。
生地が厚いためか透き通ってこないが、それでも充分こいつが感じているのがわかった。
濡れてきた周辺を丹念に撫でる。
やわやわと、じっくりと。
シミが少しずつ大きくなっていく。
だんだん大きくなっていく。
濡れていく。
ソレと同時にそいつの声も少しずつ高まっていく。うわずっていく。
まるで志貴の指がピアニストのように動く。
柔らかいタッチのくせに、敏感な箇所を探し出し、声を上げさせている。
 切なそうな声。
 甘い声。
 低い声。
 可憐な声。
 淫らな声。
 声にならない声。
志貴がなで上げ、触れるたびに、この小さな女から様々な声を引き出していた。
幼女の淫ら声の独演会だった。
カン高い悲鳴にも似たそれにかわると、躰が一瞬びくんと動く。
志貴の指が陰裂の上のふくらみを転がす。
 腰が動いていやいやするが、その様子は逆に男を誘っているようで艶めかしい。
うっすらと汗をかいた太股の間の可憐な白い布きれは淫水で濡れぼそり、そいつはぼおっとした表情を浮かべ、視点の定まらない目で志貴を見た。
 志貴はそっとそのパンツを降ろす。
なんの毛も生えてなく、ただ一筋の線があるだけのそれをまたいじり始める。
その少しもりあがったぷっくりとしたそこを舌で舐める。
わざと淫らな音をたててすすり上げる。舐め上げる。
少しだけ濡れたそこはほんの少しだけ開き、その誰も触れたことのない場所をかすかにだけ見せていた。
そこに舌を割り込ませる。
呼吸音だけが漏れる。
声にさえならない。
舌には酸っぱいような志雄っぽいな玄妙な味が残る。
充血した粘膜に舌をいれようとするが、固くて入らない。
まるで白いマシュマロのよう。
ふにゃふにゃなくせに弾力があって、ぷにぷにで肌触りがよく、いつまでもこうしていたいと思わせるそれで――。
 幼児体型のくびれてなく少しふくらんだお腹や寸胴な体はすでに紅潮し、小さな花を思わせた。
独特のオンナの臭いだけが感じられて。
その臭いをもっと嗅ぎたくて、もっと奥を見たくて、もっと知りたくて。
志貴はペチャペチャと舐め続けた。
もっと淫らになるように。
もっと素直になるように。
この幼い肢体を嬲り続けた。
志貴のいままでにない熱のこもった愛撫に、それはとろとろに溶けていた。

「……あちき……ヘンに……ヘンになっちゃうにゃー」
「ヘンになっちゃえよ」

とてもうれしそうに志貴は言う。
そして自分の分身をそっと彼女のそこにあてる。
まだ開いてもない固い蕾のままのそこに、挿入しようとする。
が、入らない。
ほぐれ濡れきっていたとしても大人のものを受け入れるのにはまだ蕾すぎた。
でも志貴はあきらめなかった。
 そこに手をあて、広げ、真っ赤に充血し、てらてらした幼い秘裂に凶暴な分身をこすりつける。
そのたびにそいつは甘くわななく。
恍惚の表情をえかべ、わななく。
その声に痺れながら、無理矢理いれていく。

「……ったい」

声が漏れる。

「ったい、痛いっ痛いっ!」

ネコのようなそれは突然われにかえったかのようにジタバタ暴れ始めようとするが動けなかった。
そのぷにぷにな躰をその大きな男の体で押さえ込み、その圧力で身動きひとつさせない。
 そして強引に入れていく。
ミチミチと肉が裂ける音が聞こえてきそうなほど。
ぬりゅりとした感触が亀頭から伝わってくる。
せまくてギチギチで――たまらない。
濡れているといってもまだ子供のそこに志貴のは大きすぎた。
でも志貴は止められなかった。牡の本能が命じるまま、淫肉を分け入って入ろうとする。
ゆっくりとゆっくりと。
時間をかけて入っていく。
粘膜を巻き込み、血を流しながらも、そいつは志貴のを受け入れていく。
志貴のが半分入ったところで奥に突き当たる。
 しかし半分いれただけでも志貴はそこの良さに痺れていた。
熱い。子供だからか、体温が高いためかとても熱い。それでいてキツい。手で握られているよう。
なのにぬるぬるで、襞が蠢動してくわえ込まれているかのよう。
 ゆっくりと抜く。
肉がめくれ、その幼い躰からゆっくりと志貴のが出てくる。
でっぱりがぬるぬるで締め付けられて、それでいてこすられ、脳がはじけてしまいそうなほどの官能が全身をはいずり回っていた。
喉は渇き、疲れていた。でもやめられなかった。
この独特の官能の火は志貴の心を犯しつくしていた。
そしてまた挿入。
入れるたびに、抜くたびに走るしびれる感覚が、喉をカラカラにさせていく。
それしか考えられないほど。
そいつは唇を噛みしめながらも、鼻にかかった声で啼いていた。
その淫らな声に突き動かされるように、志貴はこの躰を犯す。
このぷにぷにとした躰が。
この潤んだ大きな瞳が。
この未成熟のオンナの臭いが。
志貴を溺れさせていく。
溺れきってしまう。
爛れて――ただその躰を貪るだけ。
でも止まらない。
腰はしびれ、ねっとりとした何か包まれて、とけていく。
たまらない。
腰の奥にあるなにががふつふつとあがってくる。
灼熱のそれが高まってくる。
昇ってくる。
牡の本能が強く出てくる。
もっともっともっと。
快感と苦痛が折り混じった奇妙な悦楽。
痛みに啼き、震えていたこの躰をただ犯し、淫らな震わせていく。
 そして悲鳴に似た声。
幼い子供の声。
同時に熱くてとろとろなそこが俺のをぎゅぅっと絞り上げる。
あんなに狭いのに、さらに喰いちぎられんばかりに俺のを締め付ける。
甘い疼きは腰骨から全身に広がり、頭を真っ白にさせていく。
 どくん
と音が聞こえるぐらい注ぐ。
陰嚢が縮まり、そこから圧縮された牡の精がこの幼い胎内に注がれていく。
志貴の欲望が注がれると、そいつはあられもない声をあげて、固まり、そしてとろんとする。
浅く深くその薄い胸を動かしている。
汗まみれで真っ赤に火照った躰。
そこに志貴はまだ注いでいた。
志貴のすべてを注いでいたといって過言ではない。
 痙攣に似たものが駆け抜け、志貴のをぐいっぐいっと締め上げてきて、たまらない。
出して敏感になったものが締め上げられて、腰がくだけそうになる。
隙間から泡とともに黄色みかがった粘液があふれかえってくる。
そして脱力。
柔らかくそして性悦に狂った幼い体からゆっくりと離れる。
 幼い秘裂からは、白い精液が、どろり、とこぼれおちていった。



◇       ◇       ◇




「ゴメン」

志貴はただ謝った。
謝るしかなかった。
アルクェイドでも、そうでなくても関係なかった。
淫行条例違反ものであることは確実だった。
まぁそれが化けネコ風情に適応されるかどうかは別として。
それに泣いて嫌がるこいつを自分のものに無理矢理したことは男として恥じるべきことだと思っていた。
頭を床にこすりつけ、志貴は許しを請う。
ゴメンの一言じゃ済まないのはわかっているが、でもなんと言えばいいのかわからなかった。
とにかく誠心誠意をも て償う覚悟だけはあった。

「じゃ、また来るからにゃー」

そんなの呑気な声が聞こえてくる。
…………。
…………。
…………っておい。
がばぁっと起きるとそいつを見る。
すでに服をきちんと着込み、窓をよいしょと登っていた。
外には大きな月が、怖いほど冴え冴えとした月があった。
そんな逆光の中、その朱い瞳がきらりんと輝く。
ふふふのふといった、とても描写できないような怖い笑みを浮かべていた。
猫というよりネコ科の肉食獣のような笑みで――。

「もー志貴ったら大胆にゃんだからね。だ・か・ら、責任とってね」
「責任って……」

もちろんとれる責任ならばとるつもりだった。
死ねといわれたら眼鏡を外して死の点を突くぐらいの覚悟ばできていた。
でも――。
喉がからからになりながらも志貴は何とか尋ねる。
ごくり、と生唾を飲む。

「あちき、妊娠したにゃー。だからつがいになって」

真っ白になった。

…………。
…………。
…………え……妊娠って鰊じゃなくて、妊娠の……こと……。
…………つがいって……夫婦になること……?
…………それって……。

「そんなのすぐにわかるわけないだろ!」

志貴は反撃を試みる。
というより反撃を試みないとヤバかった。何がヤバいって、とにかくヤバかった。
責任をとるとはいったが、妊娠なんて考えられるわけはない。

「あちき、発情期だから100(%)妊娠するんにゃー」

ネコの生理はそう。無駄がない排卵によるものでほぼ100(%)の妊娠率。
 その耳。
 その口。
 その目。
どこからどう見ても、ねこ。にゃんこ。ねこまっしぐら。
 目の前にいるアルクェイドならぬネコクェイドの姿を事実として脳が認識していくと――。
志貴の顔はゆっくりと崩壊していく。
真っ白に燃え尽きていく。
意識がどこまでも、どこまでも、どこまでも落ちていく。堕ちていく。
何も考えられず佇む志貴に対して、にんまりと笑う。

「できちゃった婚なんだにゃー」

志貴はそんな言葉を頭の片隅で聞きながら、うなづくしかできなかった。

あとがき

 MoonGazerさんの掲示板で書かれたネコクェイドものです。
 ネコクェイドの18禁ってむずかしーです。
 もしかして、これって獣姦もの? それとも幼児もの? もしかして陵辱もの? などと思ってしまったり(笑)
 わたしその手の傾向はまっくないので、四苦八苦しました。
 その手の表現やらなんやら意識して、今回は志貴を『ろりぷに好きあるいは萌え』にしました(笑)
「ろりぷに」という言葉、なんていうか擬音だけですべてを表現しているところが凄いですね。
 質問なんですけど、ろりぷに人にはこれでよかったのでしょうか? ついいつもの論理性が働き、ただの幼児虐待になってしまった気がしますが。

 もし読まれて不愉快になられ、どうしてもこのSSが赦せない方はすぐさまメイルをください。すぐにこのSSを削除します。

 わたしはその手の傾向がないため、まったくわからないので、ご意見等、お待ちしております。

 そしておばかなエロということで、阿羅本さんに挑んで……結果、玉砕(笑)しました。
バカエロってとても難しいです。
ギャグ的な展開をみせつつも、いつものえっちな感覚をこぅだしたかったのですが……妙にちぐはぐな感じで……うみゅーです。うみみゅですとも!(何を言っているやら)
 ……こういう経験で、またひとつ大人の階段を登っていくのですね(苦笑)

 当初これはMoonGazerさんに寄稿しようかと思ったのですが、ちょうど琥珀さん一人遊びが始まりますし、コミケの準備で忙しいでしょうから、自分のサイトにアップしました。

 次はたぶん、三人祭り(仮)ですね。
 ――それでは、別のSSおあいしましょうね。

index

2nd. August. 2002 #53







































男はこうして釣るものなのにゃー。
演技とは、こうするものなのにゃー。
行かず後家の知得留にはできないのにゃー。
 ……ふふふのふ。