はぁはぁという熱い吐息。
 滑らかな素肌を流れる汗。
 光源の乏しい室内でゆれる影。
 それはいつもの風景。
 ただ、その日はいつもとはちょっと事情が違った。
 


「暑いぃぃぃ……」
 事が終わって……二人は同時に呟いた。
 畳の上にそのまま敷かれた小さな布団の上で、僕――黒桐幹也と両儀式の二人はだらりと手足を伸ばす。
 疲れた。ひたすら疲れた。
 もう体力の限界だ。
 大して高くもない天井を眺めていると、なんとなく蜃気楼でも見えてきそうだったので下を見る。激しく上下する胸の上には、大きな水玉がいくつも乗っかっていた。
 隣を見れば全裸に薄いシーツを引っかけただけの式の素晴らしい姿が見えるだろう。
「やっぱり、エアコンの無い部屋でのエッチは限界があるね」
「あぁ……もうヤだからな。こんなの」
 時期は八月に入ったばかり。
 直射日光は当たらないとはいえ、暖められた屋根から伝わってくる熱で室内の空気は沸騰している。
 先ほどからまわしている扇風機も、もはや熱風しか送ってこない。
「だいだい、どうしてこんな時期に壊れるんだ!」
「いや、そんな事怒られても……。たぶん、もう限界だったんだよ」
 そう言いながらも、やっぱり突然壊れたエアコンにはいささか不服だった。ここに引っ越してきた時から使っているとはいえ、うまく使えば十年は持つといわれるエアコンが、こんなにも簡単に、そして唐突に壊れてしまうものだとは……。
「新しいエアコンを買うまで、お預けかぁ」
 思わずため息が出てしまう。
「なんだ……」
 残念に思う気持ちが顔に出たのか、式が不服げに顔を歪めた。
「私だって……」
 式は何か言いかけて、唐突に顔を真っ赤に染めて黙りこくってしまった。何を言おうとしたのか知らないけど、この暑い中で、これ以上熱くなってどうするんだろう?
「そうだなぁ……しばらくはホテルに行こうか?」
「ラブホテルって奴だろ? 嫌だよ、あんなところ」
 式は、ラブホテルに一人ではいるのは気になら無いくせに、僕と一緒に入るのは嫌らしい。良く分からない論理だ。
「いや、シティホテルだよ。ほら、隣町の駅前に出来た」
「そんな金、あるのか?」
「……無いね」
 エアコンを買うだけでも必死なのに、ホテルになんて泊まってる余裕は無い。
「かといって他に場所は無いし……」
 式のアパートには当然エアコンなんて無いから、ここと状況は変わらない。
 じゃあ両儀の屋敷の方はどうかっていうと……。
 あちらはもちろんエアコン完備だけど、まさか娘さんとエッチするだけの為に帰るなんてそんな事できるわけがない。
 さて、どうしたものか……。
 新品のエアコンを買うのは次の給料日の後。それから設置にきてもらうまでにニ三日。
 それまで、はたしてどうしたものか……。
 どこか、涼しいところがあれば良いのに。
 涼しいところ……。
 涼しいところ……。
 涼しい――――
「あっ!」
 今、とっても良いことを思いついてしまった。
 我ながら天才的と言える発想だ。
 でも、それを伝えようと式の方を向くと……そこには何かものすごく警戒した獣のような顔があった。
「ど、どうしたの?」
「お前がその顔をしたときは、絶対良くないことが起こるんだ」
「酷いなぁ。僕が今まで、式の嫌がる事をしたことがあったかい?」
「…………」
 沈黙。肯定の印。
 でもこれはただの肯定じゃない。
 一杯ありすぎていちいち例を挙げる気になれない、という沈黙だ。
「大丈夫。今回は式も嫌がらないと思うよ」
「……一応、聞く」
 うん。と一つ頷き、切り出す。
「式……お風呂に入ろう♪」
 


『CC式』



雨音



 わくわくどきどき。
 僕は一人、お風呂場で式の登場を待ちうけていた。説得に労した時間の分だけ、期待は膨れ上がる。
 カラカラと音をたてて戸が横にスライドし、ついに式が登場した。
「遅かったね――――って、式っ! どうしてタオルなんか巻いてるの!?」
「恥ずかしいからに決まってるだろ!」
「今更恥ずかしがらなくっても……」
 赤面しながら身体を隠す式に、思わず呟く。
 あ〜んなところや、こ〜んなところまで、全部見てるんだし。
 皺の数だって言えるくらい明確に、そりゃもう、「これでもかっ!」ってくらい克明に覚えているのに、今更隠したって……。
「今更だろうがなんだろうが、恥ずかしいものは恥ずかしいっ!!」
 さいですか……。
 女の子って分からない。
「でも、湯船に浸かるときは外さないとダメだよ?」
「わかってる。って、沸かしたのか?」
「うん。ちょっとだけね。水道から出たのそのままじゃ、風邪引いちゃうから、ぬるま湯程度に」
 手を突っ込んでもほとんど冷たさを感じない程度。
 だけど水は気化する際に熱を持っていってくれるから、この程度でも涼しさは感じられる。
 事実、この風呂場内は他の部屋よりもだんぜん涼しかった。



 まず、式が湯船に浸かった。
 タオルを外すと言う事でじっくり観察させてもらおうと思っていたのに、「こっちを向いたら二度と首が回らないようにしてやる」という不当な脅迫を受けてしまったので諦めた。
「ふぅ……」
「どう?」
「ん。ちょうど良い感じ」
 湯船に浸かりながらゆったりとする姿は、なんとなく式によく似合っているように思えた。普段和服姿だから、和風のものが似合うようなイメージが出来あがってしまっているのかもしれない。今度、一緒に温泉でも行こうかな? もちろん混浴で。
「さて……。それじゃあ式。身体を洗ってあげるから上がっておいで」
「は……?」
「だから、身体を洗ってあげるって――――」
「断るっ!!」
 ギンギンと狭いお風呂場の中に式の怒声が反響する。
「断るって……。でも、さっきかいた汗で、身体汚れてるだろ?」
「違う! 身体を洗うことを嫌がってるんじゃなくて、お前が洗うっていう事を嫌がってるんだ!」
「どうして?」
「ど、どうしてって……」
「僕は君の恋人で、君は僕の恋人。二人は愛し合ってここにいる。そんな二人が相手の身体を洗ってあげるのは、そんなにおかしい事かな?」
 かなり無茶苦茶な論理だけど、「恋人」とか「愛し合って」という単語に極端に弱い式は、顔を赤らめながらそれ以上の反論をつむげないで居る。
 よし、もうあと一押し!
 ……別に怪しげなことを考えてるわけじゃないので、その辺りは間違わないで欲しい。
 式の身体を洗いながらついでにアレやコレやイタズラしちゃおうとか……そんなことはまったくキッパリこれっぽっちも考えてない。
 ……考えてないだけで、実行しないかどうかは保証の対象外だけど。
「ほら、おいで、式。自分一人じゃなかなか綺麗に洗えない部分を丁寧に洗ってあげるから」
「……どこだよ、それ」
「主に背中かな?」
「主にって、主にってっ!?」
 何故かかなり警戒している式の姿に、僕はため息をついた。
「式、無闇に人を疑っちゃダメだ」
「こういうところまで一般論を出すのか」
 僕のこういう一般論が好きではないらしい式は、む〜と睨みつけてくる。
 仕方がない……。
「式。いいから。我侭言わずにこっちにきてよ。お願い」
 素直にお願いする。
 実は式にはこれが一番効果的であることは、これまでの経験で実証されている。
 式はしばらく顔を紅くしたり、仏頂面になったりしていたけど、結局「我侭なのは幹也の方だ」なんて呟きながら湯船から出てきてくれた。(当然その際、僕は向こうを向かされた)
 そして僕の前に置かれたお風呂用の小さな椅子に座る。
 普段身体のラインが全然でない和服ばっかり着ているから分かり難かったけど、ちょこんと座っているその姿を見ると、やっぱり式が小柄であることがよくわかる。一つ一つのパーツが男の僕のそれとはぜんぜん違っていた。
「ほら。洗うんだろ?」
「あ、あぁ……うん」 
 出来ればもうちょっと眺めていたかったけど、式に不審がられたら困るしね。
 僕はへちまたわしにボディーソープを塗りつけ、泡立てた。
「それじゃ、背中から洗うよ?」
 泡まみれのへちまたわしを式の背中に当てる。そして強過ぎず、弱過ぎず、微妙な力加減で擦っていく。
 濡れないようにタオルでアップにされた髪が数本、白いうなじにかかっている。肩から腰、そしてお尻までなだらかな曲線を描くその身体は、なんというか……すごく綺麗だ。
「式の腰って、やっぱり細いね」
「な、何を……そんなの知らないっ」
「クラスの子と比べたりしないんだ?」
「比べる? 何を?」
 スタイルの良し悪しを……と答えようと思ったけど、よく考えたらそんな事にこだわる式じゃない。
 しかし……スタイルの維持に気をつけているようには見えないけど、本当に細いなぁ。
 おそらく単純に、無駄な脂肪が無いのだろう。
 女性は男性よりも体脂肪率が高いはずなんだけど……。
 この辺りが、あのオバケじみた運動神経の源なんだろうな。
「はい、それじゃ右手上げて〜」
「ん」
「オッケ。今度は反対〜」
「ん」
「よし終了。それじゃ、今度はこっちを向いて〜」
「ん――――って、何でだっ!!」
「す、凄い式……。ノリツッコミなんてどこで覚えたんだい? でも、ちょっとノリきってなかったね。もうちょっと修行が……」
「みぃ〜きぃ〜やぁ〜〜〜」
 何故かものすごく怖い声を出す式。でも、こっちを向けないので、その恐ろしさは半減していた。
「式の身体全部洗ってあげたいんだけど……ダメかな?」  
「は、恥ずかしいから……」
 式は消え入りそうな声で言った。
 ……いや、だからエッチの時にもう見てるから。その上舐めてるから。
「じゃあ、後ろから洗おうか?」
「それも嫌だっ!!」
 我侭さんだ……。
「う〜ん……分かったよ、式。つまり式はこっちを向きたくないから、僕にそっち側に回って来いって事なんだね?」
「全然違うっ!!」
 何故か一際大きな声で怒鳴られた。その上婉曲的に、貴方の脳味噌にはプリンが詰まっているんですか? という意味だろう事までいわれた。
 でも、ここで挫けては行けない。
 『男は行動力!!』という言葉もあることだし。
 僕は式が反応する間もなく、彼女の正面にまわった。
「わ、わ、わっ!!」
 慌てた式は両手を交差させて胸を必死に隠す。
「ほら、これで洗える」
「…………バカやろ」
 顔を真っ赤に染めながらも相変わらず言う事は言う。
 両手で胸を隠している格好と言うのは、羞恥の表情とあいまって、これはこれで何気にそそるけど……これじゃなにもできない。
「手、放して」
 ……反応無し。 
 仕方がないので僕がその手をつかんで外した。……その際、何故か予測していた程の抵抗は無かった。あれだけ嫌がってたくせに……。とっても謎だ。
 両の手によって隠されていた式の胸――正鵠を記するならばおっぱい、あるいは乳――が、僕の目の前に登場する。ぷっくりと膨らんだ白い膨らみは大き過ぎず小さ過ぎず、ちょうど手のひらにおさまるくらいの大きさだ。
 さらにその天頂にはピンク色の小さな突起がぴょこんと顔を出している。
「式、すごく綺麗だよ」
「う、うるさい……」
 恥ずかしいのか、それとも喜んでくれているのか、そっぽを向く式。
「それじゃ、始めるね?」
 まずは鎖骨あたりにたわしを押し当てる。そして背中同様滑らかな肌に沿いながら胸の外回りをなぞり、引き締まった腹筋とお臍を擽る。そのまま下へ、ぴっちりと閉じられた両足の間に茂る淡い若草をかすめ、今度は先ほどとは逆に上へ。 
 ゆっくりと、やってる自分が焦れるくらいに時間をかけてなぞって行く。
 何度も何度も。
 胸にはけして触れずに。
「……ぅっ、く」
 わき腹辺りから胸へ、脂肪を移動させようとするような動き。でもけしてそれ以上はいかない微妙な、刺激ともいえないような刺激に、式は小さく吐息を漏らした。
 見ると、白かった肌にも僅かに朱色がまざり始め、淡いサクラのような色合いに変わってきている。
「式……どうしたの? 変な声だして」
 意地悪く聞いてみる。
 式は「なんでも無い!」とやや上ずった声で言うと、それ以上声が漏れないようにそのまま口をきっちりとつぐんだ。
 そう来ますか。それじゃ、こちらも負けてられない。
 焦らすような動きを中止し、僕はへちまたわしを胸の中心へと向かわせた。 
「……ぅん」
 その動きを敏感に感じ取り、式は小さく反応した。
 へちまたわしの先っちょで乳首の周りをクルクルとなぞって行く。小ぶりな乳輪はそれにあわせて柔らかく形を変えた。
「ん、くぅ……」
 ザラザラとしたへちまの表面が、想わぬ刺激を呼んだのだろう。その微妙な刺激に、式ははっきりと声を漏らし、身体をくねらせた。
 でも、僕のほうは……あんまり楽しくない。
 ボディーソープでぬるぬるになった式の可愛らしい乳房が目の前にあるというのに……納豆を一粒一粒食べていくようなもどかしさだった。
 ……うん。やっぱり直に触らないとね。
「これじゃ洗い難いから、手でやるね」
「え――――」
 何か言おうとしたのを遮るように、僕は式にキスした。同時に、へちまたわしを捨てた手でそのまま乳房にかぶせる。手のひらにそっとおさまるくらいの胸は、僕の手のひらに心地よい乳脂の感触を返してきた。
 山形に盛り上がったその部分をなぞり、天辺に硬くなりはじめた乳首を手のひらで擦る。すると式の口から――といっても口は閉じられているのでほとんど鼻息のようなものだけど――甘い声が漏れた。
 口内にさし入れた舌だって休んではいない。臆病な式の舌を絡め取り、擦り、唾液を交換する。くちゅくちゅといやらしい音が風呂場に反響し、僕は甘い蜜を味わった。
「ん、うんんぅ、んんっ……」
 乳首を押しつぶすようにすると、式の口から更に甘い吐息が漏れる。
 さらにそのコリコリとした感触を楽しむようにつまみ上げると、式は身体をくねらせて逃げようとした。
「式、動かないで。洗えないよ」
 その一言に、式は素直に従ってくれた。 
 僕はさらにその柔らかい胸の感触を味わうために、覆いかぶせていた手のひら全体で揉み始めた。大袈裟に言っても揉み甲斐のある大きさとは言えないけど、手のひらから感じるその感触は、そんな事どうでもいいと思わせてくれるには十分なものだった。
 ボディーソープでヌルヌルになった肌。柔らかく溶けそうな感触。押しこまれた乳首から返って来る心地よい反発。
 その全部が、気持ちいい。
「式……」
「幹也……ぁっ」
 手ではその胸を味わい、口では式の舌と唾液を味わう。
 僕はしばらくの間、ずっとそうしていた。



 では……胸の次は足の番だ。
 あのまま流されて、行くとこまで行っちゃいそうだったけど、なんとか我慢したのだった。我慢すれば我慢するほど、料理と言うのは美味しくなる。
「ほら。まず右足から」
「でも……」
「綺麗に洗わないとね」
 僕はにっこりと笑い、式の足を無理やり開かせた。もちろん、式が本気で拒絶すれば無理やりなんて絶対に出来ない。だからこれは式の消極的な同意だ。
 開脚という言葉が通じるほど広く開いたわけじゃないけど、それでも太ももの向こう、淡い陰毛の奥にちょっとだけ式の恥ずかしいトコロが見え隠れするほどには何とか開いてくれた。う〜ん、チラリズム♪
 できればこのまましばらく眺めていたい気持ちだったけど、メインディッシュは最後に取っといたほうが良い。僕は先にオードブル……式の美脚を堪能することにした。
 まず太ももの上の部分から、膝にまでゆっくりと指を這わせていく。それほど刺激があるわけでもないはずなのに、式はその感触にビクビクと身体を震わせた。顔はもうまっ赤っかで、目をぎゅっと瞑っている。
 その反応が可愛らしくて、ちょっとだけイタズラ。指を内側に回して、ゆっくりと上って行った。案の定式はこれまで以上に過敏に、ビクッと身体を震わせた。
 まだまだ。まだ早い。
 このまま一気に上っていきたい気分を抑え、今度は手のひらも使って膝へ、そして踝までなぞって行く。一応、身体を洗うっていう名目を使っている以上、仕方ない。
 つるつるの脚は、触ってるこちらも気持ち良かった。手のひらには性感があるっていうけど、本当かもしれない。式の胸を揉んでいるときも、やっぱり気持ち良かったしね。
 何度か踝の辺りを丁寧になぞり、もう一度上っていく。筋肉を、柔らかい脂肪を揉み込む様にマッサージしながら丁寧に脚を洗っていく。
 式は刺激に慣れてきたのか、そのマッサージが気に入ったのか、先ほどまでのように身体を強張らせず、力を抜いていた。息は多少荒いものの、どこかポーっとしている。武道家としては失格なんじゃないだろうか? 今なら僕でも一本取れそうなほどだった。
 まぁ確かに、そうやって緊張を解いてくれるっていうのは僕にしても嬉しいことだ。だけど、ちょっとだけイタズラしてみたくなるのが人情っていうものじゃないだろうか?
 脚を洗っていた手のひらを、ゆっくりと下げていき、そのまま踝では止まらず足の裏にまわした。そして感度の高いその場所を、ちょっとだけ擽る。反応は、こちらがビックリするほど盛大だった。
「うわひゃぁん!?」
 突然の刺激に驚いた式は、逃げようと脚を振り上げ(その際、僕の顔面スレスレを通っていった。アブナイ、アブナイ)、思いっきりバランスを崩し、そのまま椅子から転げ落ちてしまった。
 そんな危なっかしい状態でもとりあえず式はちゃんと受身を取っていたようで、怪我は無いようだった。でも、それが逆に悪かった(良かった?)のかもしれない。椅子に腰を乗せたまま上半身を倒し、盛大に脚を振り上げた体勢になったものだから、式の隠れた部分が「これでもかっ!」ってくらいバッチリ見えてしまっていた。う〜ん、絶景かな。
「い、いきなり何をっ!?」
 慌てて身体を起こしてしまったので、その素晴らしい光景はすぐに終わってしまった。
「何って……足を洗っただけだよ?」
「〜〜〜〜っ」
 ごく普通に答えると、式はものすごく不満そうにしていたけど、結局なにも言わずに椅子の上で姿勢を正した。 
「それじゃ、次は反対の脚だね」
 一度ボディーソープを注ぎ足し、反対の脚に塗りつけていく。式の白い肌の上にネバネバした白濁液が広がり、その薫りごと染み込んでいく……というと、すごくエチィな感じだった。 
 そんなちょっと変質的かもしれないことを考えている僕に対して、式はというと先ほどのイタズラが効いたのか、すごく警戒している。
「式、もうちょっと力を抜いてくれると嬉しいな」
「これでも十分洗えるだろ」
「うぅ……」
 結局、足を洗い終わるまでずっと、式は警戒しっぱなしだった。
 


 さて……足を洗い終え、そして残るは一箇所になった。
 僕は手についた泡を一度洗い流し、そしてそっと式の内股に添える。
「最後はここだね」
「や、やっぱりやるのか……?」
「勿論ですともっ!」
 断言する。
 だって、これがメインディッシュなんだから。
「ほら、式。ここまできちゃったんだから諦めなさい」
「……勝手に、無理やり連れてこられたような気もしないでもない……」
 なおもぶつくさぼやいている式を無視して、僕は指を式の身体に這わせた。お臍辺りから、その下のデルタ地帯の淡い草むらへと下りていく。
 そこで、一度式の顔を見る。
 式は恥ずかしそうに、緊張したような顔をしていたけど、同時に僕の次の行動を待って……期待している、そんな顔をしていた。
 ……そんな……そんな顔するから。
 僕は、止まれなくなっちゃうんだ……。
 我慢できずに、指を一気に下ろした。太ももと太ももの間を通りぬけ、草地を抜けた先にある、その場所へと。
「んぅんっ」
 熱いその場所に触れた瞬間、式が身体をくねらせた。
 ――――これは……もしや?
 ぴっちりと閉じられた肉を掻き分け、僕は前後に指を動かした。案の定、ちゅくちゅくという粘液質の音。
「式……ヌルヌルしてる」
「ヤ――――」
「身体を洗ってただけなのに、感じちゃったんだ?」
「あれの……どこが……っ」
 式は息を荒げながらなんとか反論しようとする。だけどなおも動き続ける指の刺激に、何度も中断を余儀なくされていた。
「僕はホントに身体を洗ってるつもりだったよ? もしかして、式は愛撫されたと思ってたの?」
「ち、違う、あっ、そこ、ヤぁっ」
「嘘。だってそうじゃないとこんなに濡れないじゃないか。式ってエッチなんだ?」
 耳元で優しく囁き、パクリと耳たぶを啄ばむ。式の弱点。
「んっ」
 逃げようと身をよじる式を追いかける様にゆっくりと体重をかけていく。
 そして、そのまま身体を押し倒した。 
 腰だけ椅子に乗っかったままのアンバランスな体勢……先ほど転げ落ちたときと同じ体勢だ。
 僕は身体を起こし、その正面に座る。
「バ、バカッ。こんな格好……」
「式の、よく見えるよ」
 僕の目の前には式のアソコが突き出されるようにして曝け出されている。
 白い、ぷっくりと膨らんだ二つの山。その山は興奮で開き始めていて、中の桜色の秘肉がテラテラと光っているのが見えた。
「すごく、綺麗だ……」
「そこをっ、そこ限定を誉めるのかっ!?」
「だって本当の事だからね。こんなにも綺麗で……すごくいやらしい」
「バ、バカッ……ひゃんっ! 何を……」
「何って……キスだよ?」
 ただし、アソコに。ほら、「下の口」って言うじゃない?
「なんか違う……あんっ、あ、んんん」
 何かを言おうとした式の口を封じる。もちろん、下の口なんだけど、これで上の口も封じることが出来るから一石二鳥だ。
 先ほどのようなフレンチなキッスではなく、ディープな方で。
 舌をゆっくりと秘肉に這わせていくと、甘いような酸っぱいようなしょっぱいような、不思議な味が広がった。普通に舐めたら美味しいとは思えないそれも、式が感じている証拠だと思うととても美味しく思えた。もっともっと欲しくて、犬の様に更に舐めまわす。
「くぅんっ」
 式の嬌声を聞きながら、舌先で膣の入り口を擽る。少し押し入れてみると、すごく狭いのがわかった。 
 なんとか舌をこじ入れてみると、暖かい汁が待ってましたとばかりに溢れ出した。
 濃厚なフェロモンの薫りが口いっぱいに広がり、脳が蕩けそうになる。
「あ、あああ、んあぁ……」
 更に求めて舌をいっぱいに伸ばして膣の内をえぐっていくが、さすがに限界があった。侵入者を拒むように締め付ける強力な筋肉に、舌では太刀打ちできない。
 うん。こうなったらやっぱり、吸い出すんじゃなくて、掻き出そう。
 僕は式の愛液に濡れた指を一本、膣口にあてがう。
「あっ」
 舌とは違う硬い物に気づいたのか、式が一瞬不安気にこちらに視線を送ってきた。
 一度笑顔を返してから、ゆっくりと差し込んでいく。
「ん、くぅぅぅ……」
 式の小さなアソコに僕の指が飲みこまれていく。
 中指一本だというのに、普段僕のものを受け入れていると言うのに、式のそこはギチギチと痛いくらいに締め付けてきた。
(うわぁ……)
 思わず声が漏れそうになる。
 熱い。焼けそうなくらいに熱い。
 それに、気持ち良い。
 刺し入れた指は、入り口辺りではこれでもかというくらいその侵入を拒絶するのに、一度奥まで入ってしまえば、まるで今度は逃がさないとばかりに肉が蠢き、吸いこまれていく。
 柔らかくて、幾つもの皺が刻まれた膣肉は、ぬらぬらと粘液で濡れて、しゃぶられるような、溶かされるような、そんな心地よさだった。指でこれなのだから、そりゃ普段あれだけ気持ち良いはずだ。
 このまましばらくじっとしていたい気持ちすらある。
 だけど僕だけが気持ち良くっても意味が無い。式を、もっともっと気持ち良くさせてあげないとね。
 僕は緩やかに指を動かし始めた。最初は指先をピンと伸ばしたまま、式の膣穴をほぐすように前後にピストン運動をさせる。
「ん、ぅんん……」
 体内の異物に、式は少しだけ苦しそうな吐息を漏らす。だけどこれまでの逢瀬で慣れはじめていた身体の方は意外に素早く順応し始めていた。僕は指に対する締め付けから硬い感触が抜けてくるのを確認すると、今度は指の先をすこし曲げ、式の中を擦りながら動かした。
「あ、あぁあああ、ぃんっ……んあぁ、み、幹也ぁ」
 式の可愛らしい嬌声が壁のタイルに反射され、直接僕の脳に響くようだった。
 堪らない……。
 普段クールな口調の式が、こんな可愛い声を出してくれる。
 すごく、嬉しかった。
 もっとそんな声が聞きたくて、僕は膣につき入れている指をもう一本増やした。式の液でたっぷりと濡れた指は、先ほどと比べてあっさりすぎるくらい簡単に飲みこまれていった。
 だけど簡単なのはこっちだけの話で、式にしてみればいきなり膣内の拡張が二倍になったのだから堪らないだろう。
「うあぁぁ……ダメェ、広げ、る……あぁっ」
 さらに、割れ目の始まり辺りで、勃起し、自己主張している女の子の弱点も見逃さない。口の中にたまっていた唾液を舌に乗せ、その部分に触れる。そしてコリコリにしこったその豆粒の皮を舌先で丁寧に剥いていった。
「んぅっ、そこっ」
 綺麗にむけたのを確認すると、今度は唇で優しく咥えこむ。
「ひっ……あ、うぁっああああ」
 式の口からこれまで以上に盛大に嬌声が漏れた。
 ビクビクと上を向いた足が激しく暴れる。僕は式の腰が椅子から落ちないように、身体を抑えこんだ。……ちょっと体勢が苦しい。
 でもその反応は、式がもうすぐ絶頂に達するであろう事を示している。ここで止めるわけにはいかない。
 指の動きをいっそう激しくしていく。掻き出された愛液が、ぴちゃぴちゃと僕の身体に当たった。
「あっ……み、幹也、ちょっと……あんっ、やめ……」
 いよいよ式の声に切羽詰った感が入り始めてきた。
 これは……
「式、イキそうなの?」
「やっ、ちがっ……」
「嘘。だって式のココ、僕の指をキュウキュウに締め付けてくるよ」
「だから、ちがっ、って!」
 何故か式はすごく抵抗しようとする。ワタワタと、足をばたつかせる。
 でも、もちろん逃がさない。
「良いんだよ。好きにイっちゃっても」
「違っ、あ、あ、あっ、ダメ、ダメダメダメ、出ちゃう!」
「良いよ、出して。……って、出ちゃう?」
「あ、あ、出る、出る、出ちゃうぅぅぅ!」
 出るって……何が? 潮? 中身?
 そう聞こうとして、しかし聞くまでも無く答えは明確に僕の目の前で提示された。

 プシャァァァァァァァァァァ

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」
 勢い良く、指を入れた式の穴のやや上らへんから水が飛び出してきて、思いっきり僕の顔にぶちあたる。
 これは……。
 ……温かい液体。
 ……アンモニア臭。
 ……式の恍惚とした顔。
 間違い無く……尿っ!?
「あ〜…………式さん?」
 ぐったりと弛緩している式に、声をかける.
 さ、さて……どうフォローしたら良いんだろうか……。
 おしっこは汚くないんだよ。とか?
 冷えたから仕方ないね。とか?
 式のなら大の方だって大丈夫。とか?
 ……最後のは違うか。
 え〜っと。とにかく、なんとかフォローしないと。
 フォローしないと……命が危ない。
「えっと……あのぅ……式?」
 フラリ、式の身体がまるで幽鬼のように不自然な動きで起きあがる。タオルが解けて垂れ下がった髪が目許を隠してるもんだから、なお更恐ろしい。
 エマージェンシー!
 エマージェンシー!
 危険です。今すぐこの場所から脱出してください!
 脳内で警報装置が大きな音を立てている。
 ……でも、もう遅い。
 目の前のこの存在は、圧倒的過ぎる。
「幹也……」
「えっと……あの……その…………」
「何か言いたい事は?」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………可愛かったよ♪」
 その返答に――――
 彼女はゆっくりと顔を上げ――――
 そして――――
「ウフ」
 死の微笑を見せた――――――――――――



BADEND
 






 アトガキ

 初期構想時のタイトルは「式失禁」…………バカにも程がある。(ぉ

 というわけで、稚拙ながら18禁なんぞ書かせて頂きました♪
 まぁた、エロくないものを書いてしまって……申し訳ないです。
 いや、努力はしてるんですよ? でも……根本的にダメみたいで……(涙
 飛び飛びなのも、書く力がなかったからなのです。
 その上しかも、今回はネタがアレですし……。
 嫌悪感を感じてしまったかたにも、申し訳有りませんでした(謝

 お話の内容に関しては……まぁ明るく楽しくエッチな二人って事で。
 幹也くんの性格に関しては、スルーしてくださることを激しく推奨しております。(ぉ

 でわでわ、「両儀“色”祭」が更に盛り上がることを、そして無事何事も無く終了することを祈っております〜♪
 

戻る