真昼の秘密








 キャハハハハ。








 無邪気な笑い声が響く。

 しかし、それは、無邪気に見ていられる状況ではない。
 一人は、金髪で、長髪の、一般から見れば、かなりの美人だと称賛されそうな女性。
 もう一人は、男だが、一人と言うにはあまりにも凄惨な状態だった。

それは、


内臓を生きながらにして抉られ


喉笛を貫かれ


眼球は、顔から飛び出している。





震え、怯えた声が聞こえた。

「もう、許してくれ。早く殺してくれ。お前は死徒を殺すための存在だろう?
 ならば、早く俺を殺したほうがいいだろう?」

 その女はそんな言葉に耳も傾けない。




だって、その男の、内臓を


その爪をもって


かき回して


笑っているのだから。





 尚も、男は懇願する。その男は死徒ゆえの再生力で、喉が治っていたから、声が出るのだ。

    「た、頼むから、俺を、もう・・・」

 唐突に、女の声が聞こえた。
 たった一言。

    「五月蝿い」

 と。女は尚も笑い続ける。
 急に歌い始めた。





    ぐるぐると ぐるぐると 回ってたよ

    頭がね

    眼がほらね

    飛び出してきて

    それでもね

    ボクはずっと

    笑ってたよ

    キミは真珠のように


           笑うんだ





 その歌い方は、童女のもの、そのものだった。
 常軌を逸した笑いが再び響く。
 尚も凄惨な光景は続く。
 男は、すでに、両腕をもがれ、右足は、引きちぎられていた。

「た、たのむか・・・」

 次の瞬間、


   ─ザンッ─


 男の、頭は、引き裂かれ、
 路面に、その脳髄を塗りつけはじめた。






きゃはははははははははははははははははははははははははははははははははは
 あはははははははははははははははははははははははははははははははははは
  うふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ






 笑いながら女は、男の魂を犯し続ける。
 常軌を逸した笑いを続けていた。








 その純白の服が








 そのスカートが








 朱で、染めつくされるのも








 気付かずに
























「ふぅ、今日も、成果ナシか・・・」

 大通りを歩きながら、アルクェイドは呟く。
 さっき、初めて、死徒を殺したときのことを思い出した。

「早く、終わらないかなぁ・・。」

 アパートに向かって帰る。








 その後ろにいる



   殺人貴の影に



      気付かずに。







〜E N D〜
あとがき

TAMAKIです。
これは、ダークですね。
ちょっとした、アルクの回想だったりします。
絶対、志貴には見られたくない、彼女の一面ですね。
う〜んと、彼女は、初めて、死徒を殺すときは、何もない無垢なところで
そういう「残酷さ」を出せたら・・・。と考えて書きました。


   でわわ


’02・5/21 A.M

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